カラシ色のポンチョ、太腿があらわなデニム地のスカートにカウボーイブーツ。そのファッションは、アイドル時代のヒロスエ全盛期である90年代を思わせる。その目は既に潤んでおり、満員の客席を見渡して感慨深げだ。

 1曲目は自身の楽曲、2曲目はMr.Childrenの「星になれたら」のカバーを熱唱。ミスチルは、広末が中学生のころに陸上部の友達にアルバムを借りた思い出のアーティストなのだという。そして1回目のMCでは、

「まさかの25年ぶりのライブということで、皆さん、お互い大人になりましたね。こうしてお会いできるなんて、今年のはじめには思ってもみませんでした」

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 客席から「ありがとう~!」と声援が飛ぶ。広末はこう言って、はにかんだ。

本人インスタグラムより

「あなたを夢中にさせたくて」「全て味わって」

「ちょっと緊張しちゃいそうなので、歌います。続いて、聞いてくださいっ」

 5曲目は、椎名林檎が作詞作曲した楽曲「カプチーノ」。

〈あなたを夢中にさせたくて 藻掻くあたしを可愛がってね〉

〈何よりもあなたに逢って触れたいの 全て味わって確かめて〉

 ……官能的な歌詞に、思わず“例のシェフ”を思い出してしまったのは、記者だけではないはずだ。

広末涼子 ©時事通信社

 その後も再度、MCタイムの予定だったようだが、タイミングを間違えたようだ。バックバンドのメンバーに「MCですよ」と促されて、

「あっ! もう1曲来ると思っちゃった」

 と照れ笑い。ファンたちは笑いと拍手でエールを送る。

 その後も、1990年~2000年代のヒットソングのカバー曲と自身の楽曲を織り交ぜながら披露。観客一人ひとりの目を見ながら歌い上げ、会場からの呼びかけに手を振り返すなど、“神対応”を連発した。3回目のMCでは冒頭の意味深な台詞を口にし、さらにこう続けた。