「精神なんて崩壊したほうがいい」

 冒頭でも触れたが、まぼろし博覧会のことを「入って5分で精神崩壊する遊園地」と呼んだ人がいたが、セーラちゃんはとても光栄に思っているという。

 「よく考えてみてください。私たちの精神って、誰がつくったのかもわからない常識や倫理、秩序にがんじがらめになっているじゃないですか。そんな精神なんて崩壊したほうがいいんです。そして壊れたところから、自分自身で新しい精神をつくり上げればいい。社会に縛られた精神に閉じ込められて生きるなんて、つまらなくないですか?」

ストリップ劇場の楽屋を再現した展示も ©中村英史

 セーラちゃんのアジテーションは、さらに続く。

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「今の世の中で、競争が肯定されていることもおかしいと思うんですよ。競争があるからこそ、敗者や不幸が生まれる。たとえば、小学校の運動会で競争するじゃないですか。あれに何の意味があるんですか? 単なる見世物でしょう。もちろん資本主義社会のなかで、競争をなくすことが簡単なことじゃないことは理解しています。でも、難しいからといって諦めたら、何も変わりませんよね」

 彼女がこの博物館を作ったのは、常識やモラルに対するアンチテーゼなのだ。単にサブカルが好きというわけではなく、現代社会に対して「No!」を言い続けるためなのではないかと思う。

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