「入って5分で精神崩壊する」とネットで話題の静岡県伊東市にある私設博物館「まぼろし博覧会」。
10年前にオープンした「まぼろし博覧会」のコンセプトは“キモ可愛い”夢のパラダイス。約4000坪の広大な敷地内には昭和の町をテーマにした展示物をはじめ、全長12mの巨大な聖徳太子像、大量の動物の剥製、不気味なマネキンなど、数え切れないほどの謎の展示物が並んでいる。
そんなカオスな博物館、「まぼろし博覧会」の館長を務めるのが、セーラー服姿の謎の人物、セーラちゃん。なぜこの博物館を作ったのか、コロナ禍での苦労など話を聞いた。(全2回の1回目。後編を読む)
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老若男女問わず、みんなが楽しめる博物館
――なぜ「まぼろし博覧会」を作ったのでしょうか。
セーラちゃん 例えば、おもちゃの趣味とかみんな違いますよね。でも現実世界にはいろんなものがあって、趣味以外のものをみんな知らないですよね。そこで、現実社会にある面白いものの百科事典みたいな感じで現物を集めようと。現物を集める方が手っ取り早いということで、集めた“現物図鑑”です。ですから極端なものも全部入れています。老若男女問わず、みんなが楽しめる博物館だと思います。
――歴史的に貴重なものから一見、ガラクタのようなものまで膨大な数が集められていますが、何か意図はあるのでしょうか。
セーラちゃん いろんな分野に興味を持ってしまうんです。1つの分野である程度まで集めたら飽きますけどね。8割集めたらもう飽きます(笑)。ただ、情報を集めること自体は、あまり意味のないことだと思っているんです。それはデータベースであるわけですから。自分の考えで何かを作ることが基本的に人のやることだと思うんですね。何も知らないことがオリジナルの重要なことだと思います。
だから(「まぼろし博覧会」を)ニューカルチャーって勝手に言っているんですけど。1万人いたら1万人の個性。自分の想いで作る。こういうのを飾らなきゃいけない、作らなきゃいけないっていうことは創造じゃないので。“こうしたい”というのが創造だと思うので。そういう砦にしたいんですけど、なかなか今苦戦してますね。コロナウィルスのおかげで。でも負けるかって思ってやってます。