《ガリガリのビキニ姿》自称7歳のオジサン館長
「その出版社で、1992(平成4)年に『野生ネコの百科』というネコ科動物を網羅した図鑑を作ったら、2万部も売れたんですよ。それで写真ではなく、リアルな展示ができるものを作ったらおもしろいんじゃないかと思って、『ねこの博物館』をオープンしました。続いて『ペンギン博物館』も作ったんですけれど、そちらはあまり人が来なくて5年で閉館。その跡地に昭和レトロをテーマにした『怪しい少年少女博物館』を作ったんです。それが『まぼろし博覧会』のルーツですね」
「怪しい少年少女博物館」はそれほど広くなかったため、増え続ける展示物でいっぱいになってしまった。そこで、新しく博物館ができる場所を探していたところ、閉園後約10年間放置されていた廃墟の熱帯植物園を発見した。
「見つけた瞬間、これだ!と思いましたよ。山を背にした傾斜地で、『水滸伝』に登場する梁山泊を思わせるでしょ。平らで真四角な場所って、展示物を配置するのは簡単ですが、見る側にとってはおもしろみに欠けるんですよ。こういう傾斜があると、先が見通せないから、次に何が出てくるか予測できない。お化け屋敷のようなワクワク感が生まれるんです」
展示物を飾るときも図面は作らない。図面を作ってしまうと、そのとおりにすることに自分がとらわれて、思考が停止してしまうからだ。
「図面を作るのはしっかり計画しているようにみえますが、僕から言わせると怠慢なんですよ。自分のやりたいことに忠実でなくなってしまう。だから、図面なんか作らずアドリブで飾ればいいんです。その結果、多少歪んでしまっても、それでいい。だいたい、人の生き方自体がアドリブみたいなものじゃないですか。こうしたいと思っていたって、そのとおりにいくことなんてめったにない。その場その場で考えて、道を切り拓いていくものなんです」
なるほどですね!と相槌を打ってみたものの、博物館の展示方法と人生を同じ視点で語るのは、ちょっと強引な気もする。ただ、関西訛でハスキーボイスのセーラちゃんにビキニ姿で語られると、つい話に引き込まれてしまう。
