平祐奈の“超過保護”伝説 18歳までは父と……
例えば「眉毛を剃ること」「炭酸飲料やコーヒーを飲むこと」に加え、恋愛が20歳まで禁止だったという。20歳になった後も、出産するまでアルコールは禁止というから驚きだ。
この他、高校卒業までは「肩出しの服」も母親からNGが出ていた。また、映画『honey』では役作りで茶髪にすることさえ、母親の許可を得たというエピソードもかつて明かしている。
こうした一見すると奇異にも思える家庭のルールは、思春期の彼女を“保護”するものであり、平祐奈自身も家族との仲は良好で、18歳まで父親と一緒に風呂に入っていたほどである。
このようなルールやエピソードは「平祐奈=清純派」というパブリックイメージを補強する効果もあったといえ、キャリアの中で演じてきた役柄たちと相乗効果をなしていったわけだ。
金髪で激しくヘドバン 主題歌も自ら歌唱
そこから一転『ネムルバカ』では、金髪というビジュアルのインパクトだけではなく、ギターや歌までこなす、やさぐれた佇まいが目を引く。これまでのキャリアになかった要素ばかりだ。
この変身は、単なる“見せかけ”にとどまらない。平はこの役のためにギターをイチから学び、ライブシーンでは激しいヘッドバンギングを繰り返して首を痛めるほど体当たりの演技を見せた。劇中で披露した楽曲『脳内ノイズ』、そして主題歌である『ネムルバカ』の歌唱も担当しており、SNSでは歌唱力を評価する声も多い。その意味でも彼女にとって転機となった作品といえるだろう。
筆者は『ネムルバカ』関連の企画で平祐奈のインタビューも担当したが、彼女からは、従来のイメージに反し、意外なほどにハッキリと話す印象を受けたことをよく覚えている。
言葉選びに迷いがなく、率直に語るその姿勢は、テレビ越しに映る彼女の柔らかいイメージとは異なる“忌憚のなさ”に満ちていた。人一倍真面目で、自分の中に芯を持っている――そんな人物像が、ルカというキャラクターににじんでいたと感じた。
