「弟は頭がおかしくなった」と冗談抜きで思ったが…
――久しぶりに会ったら、何の前触れもなく誘われたと。
ジュン はい。「観に行かないか」ならまだ分かるんですけど、いきなり「やろう」って誘われましたね。
レイ これには理由があって、山小屋で住み込みをしている最中にYouTubeで、九州プロレスの新人がデビューするまでのドキュメントを見たんですよ。それを見たら、熱いものが込み上げてきて、「これだ」って。
ジュン 相撲もそうだったけど、YouTubeに影響されすぎだろ、おまえ(笑)。
レイ ハッハッハッ! そうかもしれないな!
ジュン プロレスなんてもちろんやったことないじゃないですか。ただ、厳しい世界であることはイメージできる。しかも、自分たちは30歳を超えている。そこからプロレスを始めるなんて、「弟は頭がおかしくなった」と冗談抜きで思ったくらいです。
レイ 兄を誘ったのは、タッグチームとして自分たちのイメージができたこと。あと、兄は仙台に帰ってきてからも、毎日身体を鍛えていたんですよね。自分もトレーニングはしてましたけど、自分の2倍3倍くらいやっていた。
ジュン 相撲がダメだったじゃないですか。それなのに、体を鍛えることまでやめてしまったら、本当にダメになってしまうような気がして。住み込みの仕事をしているときも、空き時間があればずっとトレーニングをしていたんですよ。
レイ 自分が家で普通にテレビを見ていても、兄は鏡に向かってシャドウボクシングとかをやっているんです(笑)。2時間くらいずっと動いていて、汗だくになりながらやっている。そんな姿も見ていたら……自分もそうでしたけど、兄は絶対にそういった世界に身を置いた方がいいって思ったんです。あまりやりたくないことをやるよりも、自分たちが前のめりになれるものをやった方がいい。プロレスだったらきっとそれが叶うと思って、首を縦に振るまで誘い続けたんです。
撮影=杉山秀樹/文藝春秋
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