「私がお父さんと代わってあげたい」
ミユキ:私を守るためです。
弁護人:今、お父さんに言ってあげたいことは?
ミユキ:私がお父さんと代わってあげたいです。早く家に帰ってきて欲しいです。
この場面で熊野は号泣し、裁判員の女性ももらい泣きしていた。続いて検察官の反対尋問が始まった。
検察官:あなたは本当に会うのがイヤだったのか。
ミユキ:イヤでした。相手は気分次第で殴ってきたりしました。
検察官:具体的にどんな暴力を受けたのか?
ミユキ:事件の少し前、左の二の腕を4~5回叩かれて、ずっと青いアザが残っていました。タバコの火を近付けられたこともありました。
検察官:楽しかった思い出は?
ミユキ:何もないです。
検察官:被害者にお弁当を作って遊びに行ったのはなぜ?
ミユキ:強制的にさせられた。相手の子どもたちと遊ぶのもイヤイヤでした。早く帰りたかった。
検察官:被害者との交際を親に隠したかったのか?
ミユキ:最初は内緒にしたかったけど、花火大会のときの母との電話で、帰りも遅かったので、もうバレてもいいやと思い、「男の人と一緒」と言った。相手は一緒に家に行くのをイヤがっていて、後から仕返しされた。携帯電話を取り上げられ、今も返してもらっていない。
これ以降、ミユキは青山に手紙を書くように強要された。警察沙汰になりかけたときも「何で警察に行きよるんや!」と言われ、暴力を振るわれた。最後に裁判長から「何か言いたいことは?」と聞かれると、蚊の鳴くような声で「私のせいでごめんなさい……」と述べた。
ミユキの証人尋問が終わり、退廷した途端、通路からミユキが大声で泣き叫ぶ声が聞こえた。
