続々と中古車両を導入……西武鉄道は「金欠」なのか?

 勘違いしないでほしいのは「西武鉄道もとうとう資金不足になり、中小私鉄と同様に中古車両の購入に切り替えた」のではない、ということだ。例えば、西武鉄道は最新型の40000系電車も増備を続けている。西武新宿線の特急「ニューレッドアロー」の老朽化引退に向けて、新たなライナー車両も導入予定だ。

西武鉄道は小田急と東急の授受車両を「サステナ車両」と呼ぶ。サスティナブル(持続可能)社会に寄与する車両という意味だ(西武鉄道報道資料より)

 西武鉄道は車両の寿命が長い。車両整備技術が高いからだ。なにしろ戦後は国の車両供給割り当てを待てず、各地の被災車両を拾ってきて電車に仕上げたくらいである。その伝統を引き継いだ高度な整備技術のおかげで、池袋線や新宿線に導入した新型車両を長く使えている。これらの電車は、まだ支線に転用する時期ではない。

西武鉄道は最新型40000系の増備も続けている。決して金欠になったわけではない(写真AC)
現在国分寺線で活躍する2000系が引退予定(写真AC)

 支線では古い車両が頑張ってきたけれども、こちらの老朽化は問題だ。特にモーターに電力を提供する制御装置が旧式で電力消費が大きい。近年の制御装置はVVVFインバータ(可変電圧可変周波数制御)方式になっている。ならば支線用にVVVFインバータ搭載車両を採用した新型電車を作ればいい、となるけれど、長い目で見るとよろしくない。

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 これは私の見立てだけれども、支線用の新車が長生きすると、池袋線や新宿線を引退した車両の行き場がなくなる。だから、あと10年か15年、そのくらいのつなぎ役があればいい。そこで着目した施策が「他社で引退し、まだまだ使えるVVVFインバータ電車を譲ってもらおう」だった。