〈あらすじ〉

2024年公開 114分
日本ではU-NEXTで独占配信されたが、現在は各配信で視聴可能だ。

 臨月の妻と慎ましく暮らすジャスティン・ケンプ(ニコラス・ホルト)のもとに、ある裁判の陪審員召喚状が届く。被告の男の罪状は殺人罪。ケンカ別れをした恋人が翌朝遺体で発見されたのだ。被告は犯行を否認しているが、容疑に疑いの余地はなく、簡単に陪審員全員一致で有罪評決が出ると思われた。

 しかし、審理が進むにつれ、ジャスティンは、被害者の女性を死なせたのは自分かもしれないとの疑念を持つようになる。このまま黙っていれば被告は終身刑、自分は難を逃れられるが――。

 一方、担当検事のフェイス・キルブルー(トニ・コレット)にとっても、この評決には地方検事長への昇進がかかっていた。

ADVERTISEMENT

〈解説〉

 イーストウッド40本目の監督作にして現時点での最新作。脚本は、ジョナサン・エイブラムス。

 アメリカの陪審裁判を題材に、正義と保身の狭間で人々が葛藤する様を描く法廷サスペンス・スリラー。

 イーストウッド監督作としては51年ぶりに日本での劇場上映がなくオンライン配信のみとなったが、米国映画批評会議によって「2024年のトップ10映画」に選ばれた。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆C・イーストウッド、94歳の最新作! 法廷劇は苦手な私だが、案外ダレることなく見られた。意図しない出来事に混乱する男……。キチンと設計されたドラマだが、なぜ法廷劇を選んだのか気にかかる。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆過誤と悔恨と自責。後期イーストウッド映画は、一貫してこの主題を変奏しつづけてきた。人は死ぬまで迷うという宿命に向き合う態度が率直で誠実。心は迷っても、眼と手の落着きが映画を鎮める。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆激しく車窓を覆う雨垂れの演出が全てを語っている。悪意なく犯してしまった真実から逃げるには、真実は正義とは限らないという詭弁が不可欠。そんな主人公に自己投影すると共感しそうで怖気が。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆余計な雑味を一切入れぬ澄明な語りを堪能。内容は『十二人の怒れる男』の系譜だが皮肉な視座で“その先”を見せる。現実の複雑さにシステムは追いつけるのか。ニコラス・ホルトの薄っぺらさが絶妙。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★★米国法制度の理想と価値観。二分法で切り込む優れた脚本。相反する鏡像の組み合わせを俳優に委ね、簡潔な演出で仕上げるイーストウッド。自身もこの相反する鏡像の一部かも。結末の余韻に唸る。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATIONアイコン