男って、なんて愚かなんだろう。深夜ひとり画面に集中しながら、しみじみ思う。

 若い頃、経験がないために思いを遂げられなかったけれど、勇気さえあったら「やれたかも」しれないんです。

 そんな男たちの告白を聞く三人の委員、佐藤二朗、山田孝之、白石麻衣は、「やれた」もしくは「やれた、とは言えない」の札を立てる。

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委員のひとり、山田孝之 ©文藝春秋

 女たちを抱いた思い出を甘く反芻するのでなく、未遂に終った過去にいまも拘る。そんなバカ男たちの話を聞き、さまざまな仮説を立て「やれた」かどうか判定するというアイデアが秀逸で笑える。

 第六話「映画友だちになってよ」の、通販サイトを運営する安永紳一郎(中尾明慶)三十七歳も勘違い野郎だ。

 十四年前に出会った古着屋のバイト店員、あやの(森川葵)とは漫画の趣味が一緒。

 古着屋が閉店になって疎遠になった二人だけど、一年後に彼女からメールが。借りてた漫画を返したいからと。再会した彼女は、いまは映画にハマっているという。『第三の男』を見て感想を交わしていると、あやのは「映画友だちになってよ」と誘う。

 香港が舞台の恋愛映画を見て二人が感激した夜、彼女を送る途中で信号が赤に。停車中に「お姉ちゃんから聞いたんだけどね、あのポプリンって建物、ラブホテルなんだって。変な名前だね」。

 ラブホテル。そんな下ネタを彼女が口にするなんて。安永君の頭は妄想でグルグル。彼女が「あ……」と呟く。「信号、変わるよ」。アクセルを踏む安永君であった。

 何か月かして告白した安永君に「もう少し早ければOKしてたけど……遅いよ」と、アヒル口で拒否する森川葵は小悪魔フェロモン全開だ。

 あのとき「ポプリン」に入っていさえすれば。そう後悔する安永を、三人が判定。

 漫画を返したいというメールは、再会したいための口実では。映画友だちになってというのも、継続的にアナタに会うための口実ですよ、と。ホテルに誘わなかったので、やれなかったんじゃない。彼女の気持ちをわかっていれば、「やれた」んですよ。

 振られてからも十四年間、映画館に通い、銀幕に彼女の姿を求めた僕の人生は何だったんだ! 涙を流す安永に、映画の主役はアナタです、と三人。いい話でしょ。でも、こんな委員会がなぜ存在するのか、というテーマ設定それ自体はいまだ不明だ。果たして最終回で謎は明かされるか。

『やれたかも委員会』
TBS 火 25:28〜25:58 原作は吉田貴司の漫画
http://yaretakamoiinkai.com/