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定番の「黄色×黒色」を使えなかった京都のドンキ
2020年6月、京都を代表する繁華街である四条河原町に新規オープンした「ドン・キホーテ四条河原町店」。この店舗では、京都という土地柄ゆえに、黄色を使える面積が非常に限られていました。
ドンキのロゴの定番色で、「ドンキイエロー」と社内で呼んでいる黄色の使用が許可されたのは、メインのファサード看板のみだったのです。ビルの上方には数カ所、「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」のロゴを配置していますが、やむを得ず、彩度を抑えた淡いクリーム色にとどめることになりました。
このように「色の制約」がある以上、いつものように「黄色×黒でド派手に!」というわけにはいきません。そこで私は、建物に、ほかの店舗では見られない独自の造形を加えることで、目立たせることができないか? と設計チームとアイデア出しをしていました。そこで、一人の設計士が一枚の写真を見せてくれました。それは竹かごが暗闇の中で内側からボウっと光っている美しい写真でした。
京都には、竹細工や竹工芸の伝統があることを知り、竹かごのような、昼は網目がきれいに見えて、夜は間接的に光る、そんな京都ならではのファサードを作ろう! ということになったのです。
京都の伝統文化が感じられる意匠を取り入れることで、京都の街並みに溶け込みつつ、周囲の建物にはない存在感を出すことに成功しました。
