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「まだアンパンなんてやってんだ。クスリはやらねえの?」
あまりに突然のことで、未知は頭が真っ白になった。2歳の時に敏夫に引き取られたため、実母の紹子のことはまったく記憶になかったので、このような形で再会するとは想像もしていなかった。何より、母親がこんなに壊れた女であることに愕然とした。 紹子は、未知がシンナーを手にしているのを見て言った。
「あんた、まだアンパンなんてやってんだ。クスリはやらねえの?」
未知は覚醒剤は未経験だった。母親は馬鹿にしたようにゲラゲラ笑いはじめた。
「まだガキだな。怖いのか」
「そ、そうじゃねえよ」
「ポンプ(注射器)が怖いなら、飲めばいいじゃん。つくってやるよ」
紹子は覚醒剤を取り出し、その場でシロップに溶かしてジュースにした。未知もここまでされて引くわけにはいかない。「飲んでやるよ」と言って一気に飲み干した。
