県庁から高知駅へ向かう
「いってらっしゃい」。齊藤主幹らの見送りを受けて、県庁から高知駅へ向かった。2025年4月上旬のことだ。
「土佐勤王党」の結成150年を記念して設置された三志士像(武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎)を横目に駅構内へ。アンパンマンとばいきんまんが描かれた階段をホームへ上がる。高知県はアンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの故郷である。
注意しておかなければならないのは、高知県内のJR線ではSuicaやICOCA、PASMOなどのICカードが使えないことだ。切符を券売機で買う。
県のHPで紹介された通り、午前11時6分発の須崎行きワンマン普通列車(1両編成)に乗った。
山奥に出掛けるには遅い時刻だが、これには理由がある。「中津渓谷」へ向かうコミュニティバスが1日に3往復しか走っておらず、行きは午前6時台と午後1時前、午後4時半過ぎだけなのだ。
高知駅から乗り継ぐには、午前6時台の便だと間に合わない。午後4時半過ぎでは現地に着くのが夕暮れになってしまう。観光に使えるのは午後1時前の1本しかなかった。これに間に合うよう逆算した高知駅の出発時刻が午前11時6分なのである。
付け加えておけば、「中津渓谷」を通る昼のコミュニティバスは、月水木金の週4日しか走っていないことも留意しておかなければならない。
乗り継ぎミスはゆるされない!
列車で向かうのは、高知駅から14駅先の佐川(さかわ)駅だ。午前11時56分着なので、50分間の乗車になる。
少しでも乗り継ぎにミスがあると、目当てのコミュニティバスには乗れない。だが、列車に揺られるとつい眠くなってしまうのが人情だ。うつらうつらしていると、「○かわ」という車内アナウンスが聞こえた。
「ヤバい。下りなければ」。慌てて出口に向かうと、明らかに風景が違う。「ここは、さかわですか」。運転士に聞くと、「はかわです」。途中の波川駅だった。
もし下りていたら、旅は終わりになっていた。今度は眠らないよう立って向かう。


