母は尻軽で、男と出会えばすぐに「体の関係」になった

 結婚生活は3年ほどで壊れた。後で聞いた話では、新婚と同時に竜司の家庭内暴力がはじまったそうだ。家には1円も金を入れず、毎晩のように泥酔して帰って来ては、理由もなく家族に対して殴る蹴るの暴行を加える。暴力は幼い晴子にまで及んだ。

 晴子が3歳の年、母親の友理は晴子を抱いて家から逃げ出し、東京の大田区のアパートに移り住んだ。竜司と縁を切って、一から人生を再スタートさせたのだ。昼は保険の外交員として働き、夜はスナックのホステスをやって生計を立てた。

 大田区のアパートでの生活は、晴子にとって決して良い思い出ではなかった。彼女は語る。

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「うちの母さんは、目先の欲望しか考えないような、すげえ尻の軽い女なんです。昼の仕事でも、夜の仕事でも、男と出会えばすぐに飲みに行って体の関係になる。外でやってるならまだしも、しょっちゅうアパートに連れ込んで来るんですよ。

 私の子供の頃の記憶って、朝になって起きたら、見ず知らずの男が全裸で寝ているってもの。しかも、毎回相手の男が違うんだよね。母さんも普通に『あ、おはよう』なんて言ってくる。娘の気持ちなんて何にも考えてなかった。

 きっとヤクザの父と結婚した時もそんな感じだったと思います。店で知り合って、あっという間に体の関係になって、そのまま妊娠したか、同棲したかで生まれたのが私。それで、うまくいかなかったから逃げ出して、また同じように男を貪り食ってたんでしょう」

 晴子が友理をここまで悪く言う背景には、さんざん振り回されてきたという被害感情がある。友理は非常に情緒が不安定で、感情のコントロールをすることができなかったそうだ。