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警察は当初、彼女の届け出を毎日何百と寄せられる情報の一つに過ぎないと重視していなかった。が、念のため調べたところ、違反車の持ち主が、ニューヨーク市の北に隣接するヨンカーズのアパートに住む郵便局員のデヴィッド・バーコウィッツ(同24歳)なる男と判明。ヨンカーズ警察に電話をかけると、女性交換手ウィート・カーが驚いたような声で、自分もバーコウィッツこそがサムの息子だと確信していると言う。
なんでも、自分の父サム・カー(生年不明)はバーコウィッツの家の隣に住んでおり、長年にわたって飼い犬の鳴き声がうるさいと火炎瓶が投げ込まれたり犬を銃撃されるなど、執拗な嫌がらせを受けてきたという。彼女によれば、バーコウィッツは近隣住民の家にも火を放ったりしているが、証拠がないため警察も逮捕に踏み切れないでいるそうだ。
ついに明らかになった「犯人の正体」
ニューヨーク市警は色めき立った。サムの息子と同じ「サム」の名を持つ人物が関連するこの出来事。もしかしたら、バーコウィッツこそが真犯人なのではないか。
8月10日、警察はバーコウィッツの車を捜索する。と、後部座席で一連の事件で使われたのと同じ44口径のブルドッグ・リボルバー、弾薬が詰まったダッフルバッグ、犯行現場の地図、ニューヨーク市警「サムの息子特別捜査班」宛の手紙などを発見。ほどなくアパートから出てきたバーコウィッツに任意同行を求めたところ、彼はあっさり自分がサムの息子であると告白した。1977年8月10日のことだ。