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 サッカー選手として、専門的な走りのトレーニングを取り入れた先駆けとなったのが、今回の日本代表にも選ばれている岡崎慎司(レスター)だろう。10年以上前からバルセロナ五輪陸上短距離代表の杉本龍勇(たつお)コーチに師事し、サッカーのピッチ上でも活きる走りのトレーニングに力を入れて来た。

 岡崎は清水エスパルス時代に杉本氏が偶然、チームのフィジカルトレーナーを務めていたことから、走りのスピード改善に陸上競技的なアプローチを取り入れるようになった。その結果が2016−2017シーズンのプレミアリーグ優勝であり、日本代表での活躍なのだ。

レスターに在籍する岡崎慎司選手 ©JMPA

ラグビー日本代表は元総合格闘家をコーチとして招聘

 岡崎や原口が陸上競技出身のコーチに師事することで目に見える結果を出したことを受けて、いまでは多くの代表クラスのサッカー選手が自身の能力の改善に陸上競技的なアプローチを取り入れている。こういった競技の垣根を超えたトレーニングの探求は、日本の更なるレベルアップを生むはずだ。

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 例えば、前回W杯で南アフリカを破る大金星を挙げたラグビー日本代表は、タックル向上のためのコーチとして元総合格闘家の高阪剛氏を招聘していた。また、スキージャンプの「レジェンド」葛西紀明選手は、トレーニングにリフティングなどサッカーの動きを取り入れている。

 サッカーは日本で人気が高く、非常に競技人口の多いスポーツである。

 一方で、その規模と人気が大きいだけに、どうしても競技の内側でトレーニングが完結しがちだ。多くの高いポテンシャルを秘めた選手が日本中にまだまだいるはずで、これは非常に残念なことだと思う。

 陸上競技以外にも、バスケットボールやバレー、野球など様々なスポーツから効果的なトレーニング手法を取り入れていく。自競技以外にも目を向けていくことで、サッカー日本代表もさらにもうワンランク上のチームになる可能性がでてくるのではないだろうか。