「好き」のマネタイズには“悪魔との契約”が必要!?
あんじゅ 酒蔵さんの宣伝下手なところを自分のクリエイティブで助けるって、すごくいい。それってクライアントワークの基礎ですよね。ここでひとつ伺いたいんですけど、自分の好きなことを仕事にしようとするとき、マネタイズの問題から逃げられないじゃないですか。そこで一番大事なことって何だと思いますか?
フジワラ 本書では、まず覚悟を決めることの大切さを書きましたが、もう少し突き詰めていうと、それは“悪魔との契約”みたいなもの。世間からしたら、別に私たちが好きなことをしたいかどうかなんて関係ないでしょ。でもそこで「あなたは好きなことで食べていいよ」と譲歩してもらうためには、なにかを犠牲にしなくてはいけない。
私の場合なら、イラストをたくさん描けるタイプの人間ではないので、一枚のイラストに対して尋常でない熱量をかけるとか、SNSでの発信でもやれることはすべてやるとか。
あんじゅ なるほど。私は好きをマネタイズするうえで、最初に決めるべきは、どの段階に行くことを目指すのかだと思っています。普通の仕事をやりながらプラスαの副業レベルでいくのか、フリーランスでなんとか食べていきたいのか、あるいはジャブジャブお金が使えるような金持ちを目指したいのか?
マネタイズって別にどんな手段でもいいと思っていて、例えば旅行好きな人がマネタイズしたかったらJTBに就職すればお金に変えられるわけだし、絵を描きたいなら広告系の会社に入る手もあるし、漫画を読むのが好きだったら、本屋で働いたっていい。
人間、休みの日は家でゴロゴロしてたいなとか、あまり根詰めて働きたくないなとかいろいろあると思うけど、漫画を描くのが大好きで本気でめちゃめちゃ金を稼ぎたいのなら、ヒット漫画家になるしかないなと、超えるべきハードルが決まってきます。「好きなもの」プラス「自己分析」で、自分が何をどのくらいのマネタイズをしたいかを定義するのが重要だと思っています。
フジワラ まさしくその通りです。自分が本当のところどう働きたいのかを考え抜いたうえで、それがフリーランスの道なら覚悟を決めて飛び込む!
新米フリーランスに付いてまわるお金の罠
あんじゅ そのとき現実的にはやっぱりお金の問題がついてまわるわけですけど、新米フリーランスがつまずきやすいお金の罠とか失敗、フジワラさんにもありました?
フジワラ それまで会社員としてしか働いたことがなかったので、フリーランスのお金のキャッシュフローをあまり理解してなかったんですよ。制作期間が短いものなら1ヶ月後に振り込まれますが、長いものだと3ヶ月後とか、下手したら6ヶ月後とかになってしまうことってけっこうありますよね。その期間のお金の工面に苦労しました。
あんじゅ わかります。私も大学職員からフリーランスになったので、定期収入がなくなって、住民税や社会保険など、それまで会社が半分払ってくれたものの税負担がかなり上がってびっくりしました。私は独り身だからまだ良かったんですけど、ご家族の扶養とか保険の問題、住宅ローン審査など社会的な信用の問題なども、フリーランスが直面する落とし穴ですよね。
フジワラ それに備える素晴らしい本がありますよね。あんじゅ先生のベストセラー『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』。
あんじゅ 税理士の大河内薫さんとのタッグで作った本ですが、賢く節税できるし、インボイスにも対応している最新版なので、「金のお守り本」としてみなさんにご活用いただけると嬉しいです。
フジワラ 私ももっと早く出会っておきたかった一冊です。じつはnoteを始めたのも、ある時期大きめの案件を抱えていて、キャッシュフローをどうするか困ってしまったのがきっかけなんですよ。noteなら、その月の売上が翌月すぐ入ってくるから当座のしのぎになって。

