7月。4回目の結婚記念日を迎えたが、夫からは「どうせ同意しないんだろ? 離婚調停するぞ」と言われる。
碧子さんは、
「もう一度、あなたにとって最良の妻となるチャンスをください!」
と頭を下げた。
半年婚の始まりと終わり
すると夫はしばらく考えた後、以下の条件を出した。
・2020年1月31日まで、まだ離婚に同意してほしいという前提で同居する。半年経っても俺が無理だったら、すぐ離婚に同意してほしい
・上記の場合は、3月末までに出て行ってほしい
・その間、良い夫ではいないと思うが、理解してほしい
・家賃・生活費は折半(これまでは全て夫だった)
・出て行く時のために、毎月2万・冬のボーナスは半分貯金すること
全てを飲んで、碧子さんは再同居を選んだ。
再同居後の碧子さんは、夫の気持ちを受け止め続けた。時には夫のひどい言葉や誤解に憤り、反論してしまったこともあったが、ひたすら傾聴することに努めた。
最初こそお互いに気まずい空気が漂っていたものの、次第に元通りの2人になっていく。
しかし相変わらず夫はキャバクラに通い、平日は毎晩のように飲み歩いていた。
2019年12月。碧子さんの73歳になる父親が、「ステージ2の肺がん」と診断され、抗がん剤治療を始めるという連絡があった。
2020年1月。夫の浮気発覚。月に何度かある福岡出張は、仕事だけではなかったようだ。
だが碧子さんは、不倫を追及しないことに決め、がん闘病中の父親とそれを支える母親が心配で実家に帰省した。
そして約束の2020年1月31日を過ぎた2月2日。夫はこう言った。
「やっぱり俺の気持ちは変わらない。離婚したいと思っている。キミは変わった。でも、妻としては選べない」
これまで頑なに離婚を拒んでいた碧子さんは、初めて離婚を受け入れた。すると夫はこう言った。
「この半年があって良かった。最初は何としてでも別れたいという思いで再同居した。でも今は怒りも恨みもなく感謝しかない。今日はきちんと俺の気持ちを伝えたかった」
2人とも泣いた。
