夫婦カウンセリング

 夫から再び離婚を求められ、碧子さんはそれを受け入れた。それでも、その後も「離婚する」「離婚を拒否する」の間で心が揺れ続けた。

 そこで碧子さんは、かねてから気になっていた「夫婦カウンセリング」を、意を決して夫に提案する。すると思いの外夫はそれを受け入れ、2人で受けてみることになった。

「心療内科で受けた認知行動療法は確かに有益でしたが、私の目下の悩みは『夫とのコミュニケーションの取り方』でした。なので何人かの夫婦修復カウンセラーにかかりました。夫が起こす日々の出来事に、どういう心持ちで、どう対処していくのかということを教えてもらいました」

ADVERTISEMENT

 同じ2月の下旬。碧子さんは夫のスマホを見てしまい、夫が独身だと偽って不倫していたことを知る。

 その後、帰省する予定が入っていた碧子さんは九州に向かったが、実家に滞在中もそのことで頭がいっぱいだった。

 戻ってきた碧子さんは、さすがに我慢ができず、不倫のことで夫を責めた。だが、夫婦カウンセリングの効果なのか、予想に反して夫は素直に謝罪し、碧子さんに「3月までに出て行ってほしいと言ったけど、出て行かなくていい」と言い出した。

「私の大きな問題点は、怒りをコントロールしきれないことにあり、私がイライラしていた原因は夫だけではなく、仕事にもありました。仕事のストレスで中途覚醒気味になり、2~3時間くらいしか眠れなくなった頃もありました。夫は私の怒りやストレスをぶつけるサンドバッグ状態になってしまっていたのです。夫に離婚を告げられてから、私はこの問題が、これまでの私の人生も破壊してきたのだと自覚しました。このパターンを断ち切るために、カウンセリングを受け、自分自身と向き合い、自分の行動修正をひたすら行なってきました」

 “夫婦は鏡”と言われるが、碧子さんが夫に対し、頻繁に怒りを露わにしていたため、夫も条件反射的に怒りで対処するようになっていった。しかしカウンセリングを受け、碧子さんが怒りのコントロールができるようになってくると、夫は、碧子さんが向けてきたその時その時の気持ちに対処するようになっていった。