「『8番出口』じゃあるまいし…」殺風景な通路を歩いていくと…

 監視カメラがバッチリと歩くこちらを見張っていて、聞こえてくるのは自分の足音だけだ。途中、東成田駅まで○○メートル、といった案内表示があるのだが、もしもこの数字がずっと変わらなかったらどうしよう……などとおかしなことも考えてしまう。

 何年か前に流行った8番出口じゃあるまいし。途中、ひとりの男性とすれ違ったが、まったく殺風景で変わらない通路の中で、ひとりだけとすれ違うというのもまた怖い。

 
 

 で、どれだけ歩いたのだろう、一度だけ角を曲がって東成田駅に着いた。実際には500mだから10分もかかっていないのだが、だいぶ長く歩いた気分になる。同じ500mも、景色次第では1kmにも2kmにも感じられるということなのか。

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真っ暗なホーム、目をこらすと“懐かしいフォント”で駅名が…

 ようやく東成田駅に着いても、不気味なのは変わらない。小さな改札と比べて異様に広く、そして薄暗いコンコース。その中に掲げられている年季の入った公告看板。

 地下のホームもひとけがなくて不気味そのもの。隣には現在使われていない真っ暗なホームもあった。目をこらすと、成田空港駅という駅名標が残っていた。

 

 東成田駅は、成田空港が開港した1978年に成田空港駅として開業した。当時もターミナルビルに直結していたわけではないのだが、幻の成田新幹線が頓挫した中にあって、唯一の成田空港アクセス駅だった。

 1991年に現在の成田空港駅が開業するとお役御免。ただし廃止されることはなく、東成田駅に改称して空港職員など関係者が使う駅として続いている。

 いまでも通勤時間帯にはそれなりの利用があるようだ。が、空港唯一のターミナルだったころと比べればさすがにだいぶ小規模。不要なホームが放置されるがままになっている。

 まあいずれにしても北海道の秘境駅などと比べればよほどお客の多いちゃんとした駅なのだ。不気味だなんだとケチをつけてすみません。