大の飛行機嫌いの筆者にとってはあまり関係のない話だが、首都圏から海外に行こうとすると、第一の選択肢に入るのが成田空港だ。空港を先に決めるという人がどれだけいるかはわからないし、最近ではだいぶ形骸化してはいるものの、いちおうは「国内線は羽田、国際線は成田」という役割分担が成り立っている。
そんなわけで、成田空港に向かうとき、鉄道を使うならば選択肢はだいたいふたつ。成田エクスプレスか、京成のスカイライナーだ。ここでは、ちょっとばかりスカイライナーの話をしようと思う。
スカイライナーは、京成上野駅を起点に日暮里駅を経て、千葉県は下総台地をひたすら東へ駆け抜ける。そして、いつの間にやら地下に潜ったと思ったら、もう成田空港だ。京成上野駅から成田空港まで、たったの45分。超特急といっていいほどのスピードで、あっというまに成田空港に着いてしまう。
だから、途中の車窓に関心を抱くことなどないかもしれない。特に京成高砂駅で京成本線と分かれてからの下総台地なんて、興味の埒外だ。そもそもこれから海外に行こうというのに、そんなところに気を回している余裕はなくてあたりまえ。気持ちはもう、海の向こうだ。
だがしかし。やっぱり、見なかったことにはできない。だって、スカイライナーの車窓から見てしまったのだもの。下総台地の無性に広い空のもと、とてつもなく巨大な“町”がいくつも現れては消えて、また現れていたことを。そんな巨大な町を従えた駅のひとつが、印西牧の原駅である。
京成スカイライナー“ナゾの通過駅”「印西牧の原」には何がある?
スカイライナーは目もくれずに通り抜けてしまうが、下総台地の上にもいくつかの駅が並んでいる。この区間は北総鉄道北総線。羽田空港方面、つまり都営地下鉄浅草線からの直通列車もやってくる。
北総鉄道北総線としての終点は、印旛日本医大駅だ。印西牧の原駅は、印旛日本医大駅と並んで北総線、また都営浅草線の“終着駅”としても名が高い。
そういうわけで、印西牧の原駅にやってきた。もうこのあたりは、どちらかというと成田空港に近いんじゃないかと言いたくなるくらいのところだ。
かつて成田空港への新幹線計画のために開削されたという堀割の中に、印西牧の原駅のホームがある。この駅を終点として、また都心方面に折り返してゆく列車があるだけに、2面4線というそこそこ広めの駅構内。線路と駅をはさみこむようにして 北千葉道路が通っている。