他方で課題も残っている。
「ブランドイメージですね。今もそうなのですが、さくら水産イコール安かろう悪かろうという認識が根付いています。それをどう払拭していくのかが課題です。そのために新しいブランドを立ち上げて業態転換しています。それによって130%ほど売り上げが伸びている店舗もあります」(野田社長)
特にビジネス街の店舗は苦しいためリブランディングを急いでいる。横浜日本大通り店、西新宿駅前店、九段靖国通り店は、さくら水産から「魚がイチバン」というブランドに変えた店舗だ。
利益が生まれ、次への投資ができるように
現在さくら水産は13店舗あるが、基本的にはリニューアルしている。食器類を変え、インテリアも白を基調にして女性でも入りやすい雰囲気にした。
安売りをやめ、利益を確保できるようになったことで、次への投資ができるようになったという。その結果、さらなる質の向上やブランド刷新、人材育成などにつながっていると野田社長は胸を張る。
「安売りを継続していけばどんどん疲弊すると思います。人への投資もできなければ、店舗への設備的な投資もできない。そうなると会社としては衰退せざるを得ない。ある程度単価を上げつつ、質を上げつつ、お客さまが離れないくらいの距離感を保つこと。これが大切だと身をもって感じています」
さくら水産は過去、安さを追求することで顧客の満足度を高めていた。しかし、これからは、喜んでもらえる商品やサービスの質によって客の満足を得ていく。それが生まれ変わったさくら水産の目指すべき道なのだ。
ライター・記者
1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。
