最新機器を活用して、自分自身で成長を促す。

 その環境を利用することができる「主体性」を持つ選手が、自分で伸びていく。その前提で、この「4軍制」という新たな育成プロジェクトはプログラミングされている。

“珠玉の素材”を発掘する仕組み

 多くの人間に、平等なチャンスを与えられる仕組みだからこそ、多くの選手が競い合う中から“珠玉の素材”が発掘される可能性がより高まるのだ。

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 ビジネスとして、さらなる拡大の可能性を見出しながら、選手の育成という最優先のミッションを追求していく。2025年3月には、阪神が兵庫・尼崎市に新たな2軍施設となる「ゼロカーボンベースボールパーク」を開業し、これまでの2軍本拠地、西宮市の鳴尾浜では、ウエスタン・リーグの公式戦開催時には徴収していなかった入場料も設定した。

現役時代の小久保裕紀

 巨人も東京都稲城市に、ファームの新球場「ジャイアンツタウンスタジアム」を、阪神と同じく、25年3月に開業。2027年には球場に併設する形で、飲食施設や水族館も完成予定で、球場を核とした街の一体開発を進めていくという、新時代のスタジアムビジネスを展開していこうとしている。

「やっと最近になって、他球団もいろいろなことを考えるようになった、ということですよね。阪神さんなんかは、ちょっと怖いですよね。尼崎は周辺人口も多いですし、アクセスも抜群じゃないですか。追い付かれないようにしないといけないですね」

 2019年7月から2025年1月までの5年半、野球事業推進本部の本部長を務めていた大脇満朗が例に出した尼崎市の人口は、2024年3月31日現在で45万7237人。筑後市の9倍近い人口数は、それだけビジネスのポテンシャルが大きいということでもある。

「コストセンター」として、それこそ“お荷物”だと見なされてきた育成を、ビジネス化する動きが、球界全体に芽生えてきた。これをソフトバンクは、それこそ10年前から本腰を入れ、さらに3軍、4軍にまで拡充してきている。