言いにくいことを遠回しに言うことを「オブラートに包む」と表現しますが、オブラートに包み過ぎると真意が見えなくなって、かえって人間関係を悪くします。

ストレートで思いやりいっぱいの断り方

一流は、言いにくいことほどストレートに伝えます。それでいて、相手の気分を害したり、関係にひびが入ったりはしません。本題に入る前に、「本当に残念なのですが」「申し上げにくいのですが」「ご期待に添えなくて心苦しいのですが」などの前置きをします。これをクッション言葉と言います。

クッション言葉は、陶器を箱に詰めるときに使う緩衝材と同じ役割をします。この前置きで、相手は「ネガティブな話なんだな」と心づもりができるので、このあとに続く厳しい話が与える衝撃を緩和することができます。

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ただし、褒め言葉をクッション言葉にしてはいけません。「御社の商品は本当に素晴らしい。あなたの熱意のこもったお話には大変心を動かされました。しかし、当社では購入を見送ることにしました」と言われたら、「素晴らしくて、心を動かされたのに、なぜ買ってくれないの?」と思いませんか?

断る側は相手に配慮したつもりでも、クッション言葉と本題の内容に矛盾があると、不誠実な感じがします。その結果、こちらへの信頼そのものが揺らいでしまいます。

クッション言葉を伝えたら、言いにくい結論をはっきり言ってしまいます。それから、相手のこれまでの努力に対する賛辞を送りましょう。

例えば、「ご期待に添えなくて心苦しいのですが、当社では購入を見送ることにしました。残念ながら当社のニーズには合いませんでしたが、御社の商品は本当に素晴らしいと思います。それに、○○さまの熱意のこもったお話には大変心を動かされました。当社とは今回ご縁がありませんでしたが、これにめげずに引き続きがんばってください。個人として応援しています」

こう言われたら、断られた相手も気持ちよくこちらの決定を受け入れてくれるでしょう。一流と一緒に仕事をしたい人が社内にも社外にも多いのは、こんなストレートだけれど思いやりいっぱいの断り方にも理由があります。