かつての最寄り駅には、いま何がある?

 では、そんな歴史を抱える東京競馬場前駅と下河原線、その跡はどうなっているのだろうか。

 察しのいい人ならばお気づきの通り、下河原線の一部はそっくりそのまま武蔵野線になっている。1973年に東京競馬場前駅が廃止されたのも、入れ替わるようにして武蔵野線が開通したからだ。

 

 下河原線の廃線跡のうち、西国分寺駅の南側から北府中駅付近にかけては、まったくかつての下河原線を流用したのである。

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 ただ、北府中駅から少し南からは廃線跡と武蔵野線は微妙に重なっていない。廃線跡が武蔵野線の線路とは別に残っている、ということになる。いったいどんな様子なのか、歩いてみることにしよう。

 はっきりと下河原線の痕跡を見つけられるのは、北府中駅前から府中街道を南に歩いて5分ほどのところから。

 府中市民球場のある交差点を右に曲がって、武蔵野線がトンネルに入るところを見下ろす場所に出る。その武蔵野線のすぐ西側に、なんとも言えないスペースと茂み。きっと、このあたりが下河原線の跡だろう。

 そのまま府中インテリジェントパークなるかつての日本製鋼所工場跡地の脇、もっと細かく言えばケーズデンキの脇の小径を南に抜けたところには、ポケットパークのような小さな公園が設えられている。

 地面にはレールが埋め込まれ、プラットホームを模したような一段高いところには「下河原線広場公園」という、これまた駅名標を模した看板が立っている。

 

 もうここまで来れば、何の説明も必要なかろう。文字通り、このレールが埋め込まれた公園のあたりを下河原線が通っていたということだ。

 ただ、埋め込まれたレールがかつての下河原線のものなのかどうかはよくわからない。測ったわけじゃないのでなんとも言えませんが、ちょっとレールの幅が広いような……。