「ほぼ全校生徒が生徒会に入らなきゃいけない」青ヶ島の学校事情

 都会の学校では、1つのクラスに30人以上いるのが当たり前ですよね。そうなると、どうしても学校行事を頑張る子と頑張らない子が出てきてしまうと思うんです。

 でも、子どもたちの人数が少ない青ヶ島では、常に「自分が動かないと何も始まらない」環境です。例えば中学校では、ほぼ全校生徒が生徒会に入らなきゃいけません。私も、中学2年生のときにやっていましたね。人数が少ないので、みんなで協力して運営していました。

 青ヶ島の人たちは、「ないものは作る」「自分でなんとかする」という精神がすごく強いんです。それには、“絶海の孤島”という自然環境だけでなく、こういった教育環境も影響しているんじゃないかな、と思っています。

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青ヶ島で暮らしている佐々木加絵さん(本人提供)

中学校が休校寸前…危機を救った「島留学」制度とは?

 実は、2022年に青ヶ島の中学校は休校寸前まで追い込まれたことがあるんです。休校となると、一時的に閉めるだけではすみません。例えば、今転勤で島に来てくれている約20人の先生たちは、みんな本土に引き上げてしまいます。

 もし学校が再開するとしても、その人数を呼び戻すとなると、かなり大変なことは想像できますよね。そうなると、簡単には再開できなくなってしまうかもしれません。その間に、人口はさらに減ってしまうでしょう。

青ヶ島小中学校(公式ホームページより引用)

 そんな休校の危機を救ったのが、本土の学生さんを1年間島の学校で受け入れる、青ヶ島村離島留学制度。通称「島留学」です。

 現在は3人の中学生が島留学中です。留学中は村内の受け入れ保護者、通称「しま親」のもとで生活するのですが、その中心となっているのが青ヶ島の特産品「ひんぎゃの塩」を作る製塩所の代表、山田アリサさんです。アリサさんは、島留学を立ち上げた張本人でもあるんですよ。

 島留学が始まって、今年で4年目。最初は少し緊張した様子で島で過ごしていた子どもたちも、大人と接する機会が多いからか、みんな挨拶がしっかりできるようになったり、意見をはっきり言ったりできるようになるんです。