今後も青ヶ島を「人の住める場所」として存続させるには

 他にも、「今日はたくさん釣れたから」と漁師さんから魚をもらったり、週末は畑に野菜を収穫しに行ったり、ご近所さんが飼っている鶏の世話をしたり。都会ではできない経験ができるのが、島留学の魅力です。

 今後も青ヶ島を「人の住める場所」として存続させるには、子どもたちの存在が大切です。そして、そのためには学校を維持することが大切ですし、学校を維持するためには島留学の継続が必要です。

 ただ、島留学にも課題はあります。「しま親」が見つからないと、募集が中止になる可能性があるんです。現状、「しま親」はアリサさんだけ。もっと増やしていきたいところですが、大切な人の子どもを預かるというのは、簡単にできることではありません。

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 方法は模索中ですが、島民全員、学校、そして村や都も一緒になって協力していけたらな、と思っています。

絶海の孤島・青ヶ島

「革命的なこと」をしなければ人口減少は止められない

 これまでのお話ですでにお気づきの方も多いと思いますが、青ヶ島には高校がありません。中学校を卒業すると、島外の高校に進学します。ちなみに私は親戚の家が近くにある、神奈川県の女子校に進学しました。

 進学先を決める理由はさまざまですが、私のように「親戚の家が近いから」という理由で決める人は多いですね。今はもうありませんが、昔は「七島学生寮」という伊豆諸島出身の生徒のための男子寮が都内にあって、そこに下宿しながら高校に通う人もいました。

 島には、進学のための塾や予備校がありません。だから私の頃は、放課後は学校に残って友達とわからないところを教えあったり、図書館においてある参考書を使って勉強したりしていました。夏休みだけ、東京の塾に通ったりする子もいましたね。

 今はネットが発達しているので、オンラインで授業を受けたり、オンライン家庭教師を利用したりもできるはず。昔に比べたら、島の子たちも勉強の選択肢が増えているかもしれません。

 最近は、大学や高専に進学する子も増えてきました。これからの青ヶ島を考えると、様々なことを勉強して島に戻ってきてくれる人が増えると良いな、と思います。

「人手があればなんとかなる」という時代もありましたが、これからは「革命的なこと」をしないと、島の人口減少は止められません。特に、移住者を増やせるような仕事を新しく生み出さないといけない。そのためには、島で起業してくれるような人たちが増えるといいですね。

 私は私で、「この島に行ってみたい」と思ってくれる人が1人でも増えるように、これからも島の日常を発信し続けていくつもりです。

取材・文=仲奈々
写真提供=佐々木加絵

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