お笑いコンビ・爆笑問題の二人が、1月10日が誕生日だった田中裕二に続き、今月13日には太田光が誕生日を迎え、そろって60歳となった。今週火曜(2025年5月27日)には彼らの還暦を祝うパーティーが、事務所のスタッフやタレントなどが出席して豪華客船上で催されたという。

田中裕二の妻・山口もえがインスタグラムに投稿した、還暦パーティーの様子

 ここ数年、『浅草キッド』や『だが、情熱はある』など、実在の芸人たちの半生を描いたドラマが話題を呼んできたが、爆笑問題の二人もいずれドラマでとりあげられてもおかしくはない。もし、そのときが来たら、太田を柄本佑、田中を濱田岳、そして太田の妻で二人が所属する事務所・タイタンの太田光代社長は多部未華子が演じるのはどうか、いや、もっと若手がいいのか?……などと、筆者は以前から一人で勝手に妄想してきた。

 爆笑問題の物語は、やはり日本大学芸術学部(日芸)での出会いの場面から始まるのだろう。これまで二人が語ってきたことを整理してまとめると、それはこんな感じであったという。

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大学で出会った「変なやつ」

 時は41年前にさかのぼる。アナウンサー志望だった田中は1浪ののち、日芸の放送学科とともに滑り止めで演劇学科を受験する。後者の2次試験である実技の会場では、一人の受験生が試験官をヤジるなど騒ぎまくって悪目立ちしていた。「何か変なのがいるな」と思った田中だが、自身もよく見れば野球のユニフォームを着ており、俺もあいつも落ちたなと確信する。

 だが、フタを開けてみれば、田中は本命の放送学科こそ落ちたものの演劇学科には合格した。入学初日に学校に行くと、何と、あのとき騒いでいたあいつ――太田も受かっていて、自分が合格したこと以上に驚き、思わず「あんた受かったの?」と声をかけたのだった。

爆笑問題 ©文藝春秋

 そんな田中も太田からすれば、「俺は田中って名字が嫌いだから、俺のことは“ウーチャカ”と呼んでくれ。これは高校のときからのあだ名だ」と入学早々みんなの前で発表したりと十分に変なやつだった。しかし、クラスが一緒になり、二人ともサザンオールスターズと佐野元春のファンで、ラジオの『ビートたけしのオールナイトニッポン』の熱心なリスナーだったことから、親しくなっていく。

 ある日、英語の授業中、太田がまたしても騒いでいて教授に注意された。すると近くの席にいた田中が「光、バックレちゃおうぜ」とささやき、二人はこっそり教室を抜け出す。高校時代、友達がいなくていつも一人だったが意地になって3年間皆勤を貫いた太田にとっては、授業をボイコットするなど初めての経験であり、とても興奮し、楽しかったという。