自信がついた今も「人に価値観の押し付けはしたくない」

――坂本ちゃんは人に価値観を押し付けるのが嫌だっておっしゃってましたね。

坂本ちゃん それも、ここ最近わかって。人間って、つい人にアドバイスしたくなっちゃうんですね、ちょっと上から。でもそれってすごく失礼だし、自分に酔うのもイヤだし。

 店番とかしてると、女子が悩み相談に来るんですね。でも当事者の問題で片方の立場の話だけ聞いたって、何も言いようがない。それに悩み相談って、だいたい自分の考えはほとんど決まってて、それを後押ししてくれる強い言葉を待っているものなんだと思います。実はわたくし、そういうのがね、イラつくタイプなんです(笑)。わたくしが自分で解決しちゃうタイプなので……だからあんまりね、悩み事とか言われても。

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――……困る、みたいな感じですか?

坂本ちゃん う~ん。困りはしないし気持ちはありがたいんですけど、わたくし自分のことで精一杯という部分もあるので。でも最近、テクニックを覚えました。「そうなのよ~!」「わかる~、わかる~」って言ってさしあげるの。そうすると嬉しそうに帰っていってくれる。

©︎文藝春秋

 いつか女友だちがタロット占い行くっていうので、一緒について行ったことがあったんですけど。横に付いてまして、終わったらその子が「この先生すごい」「なんでも当ててくれる」って言うの。それ聞いたときに「あなたは始まる前に、先生にベラベラ自分のことしゃべってたじゃん!」「だからそんなのわかるに決まってるじゃん!」ってビックリして。

――ああ~(笑)。

『ムー』を創刊から買っている世代だけど…「信じるべきは自分」

坂本ちゃん でも、心の拠り所としてそういう存在が必要なんでしょうね。ただわたくしは、そういうのはもう行かない。本当は、月刊のオカルト雑誌『ムー』を創刊から買っている世代だし、ノストラダムスとか、つのだじろう先生とか、時代の洗礼を受けているから、スピリチュアル系って好物だったりするんですけど。

 でもわたくしは結局「信じるべきは自分だよ」っていうのが根本的にわかったから……だって結局、人間が人間を見てるわけで。「今日どこどこで何食べましたね」なんてピタリと当てる占い師なんて1人もいないですしね。

――今またオカルトブームって、ちょっと来てますよね。

坂本ちゃん いつ地震が起きます、とか人の不安をあおる不安商法って失礼だと思うし、あえてそういうのは、もう見ないようにしています。時間のムダだし。でも信じちゃう人っていますよね、情報も多すぎると。だから、病気の情報はためになりましたけど、情報をチョイスする目っていうのも必要ですね。

――坂本ちゃんと同じ「還暦目前の世代」も、不安を抱えることも多いかもしれませんね。

坂本ちゃん 還暦目前世代って子どもが就職して親離れする頃でしょう。老後どうしようとか、そういう不安があるんでしょうけれど……わたくしの場合「芸能人になりたい」と願ったのと引き換えに「家族を持たない」と、小5から決めていたので。

 わたくし『FRIDAY(フライデー)』とか『FLASH(フラッシュ)』とか写真週刊誌ブームとかも経験しているから、子どもの頃から「芸能人はゴシップはダメ」「恋愛とかはダメだわ!」と思い込み、いまだにそれが続いてます。 

 人生ってどんなことで足元掬われちゃうかわからないじゃないですか。いいときこそ身を律しなきゃ、みたいな。そういう決まり事を自分で決めるのが大好きだったんです。

 そんなわけで、今もこれからもずっと1人ですし、そういう意味では不安というのはあまりないですね。