2000年7月からスタートした、NTV系バラエティ番組『進ぬ!電波少年』(以下、『電波少年』)内のコーナー『東大一直線』改め『どこでもいいから一直線』で人気を博したタレントの坂本ちゃん(59)。3年ほど前に前立腺肥大症と糖尿病を発症、増えていた体重は当時90キロに達していたという。

 心機一転、ウォーキングなどで22キロの減量に成功。現在はすっかり健康を取り戻し、自信がついたという。インタビュー第3回は充実している現在やこれからやりたいことなどをうかがいます。(全3回の第3回/最初から読む

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上京したきっかけは「トヨエツになりたくて」

――俳優になりたかったのは豊川悦司さんに憧れて、とのことですが。きっかけというか、どの作品で一番グッと来たんですか?

坂本ちゃん 『きらきらひかる』っていう映画ですね。江國香織さん原作の同性愛者が登場する話で、カメラワークとか、風の音とかディティールも素晴らしい作品なんです。時々観返しているんですけど、薬師丸ひろ子さんの情緒不安定な演技も素晴らしくて。ゲイで恋人もいるのに、女性と籍も入れて結婚してしまうってストーリー。相当好きです。

坂本ちゃん ©︎文藝春秋

――90年代の作品ですね。

坂本ちゃん 92年ですね。トヨエツさんが大ブレイクする直前の作品で、この映画を観たときに憧れてしまいました。ドラマでは『NIGHT HEAD』や『愛していると言ってくれ』も大好きなんですけど。わたくしは『きらきらひかる』を観て「豊川悦司さんに近づきたい」から始まっちゃいましたね。

――テレビも映画も好きだったんですね。

坂本ちゃん でもやっぱりテレビが特別。わたくしたちの世代って今と違って、必ず一家に一台お茶の間にテレビがあって、テレビは宝箱みたいにキラキラしていた。だからいまだに、わたくしたちの世代はテレビ好きな人が多いと思うんですよ。

『ザ・ベストテン』を生放送で見て「とにかくブラウン管の中に入りたい!」って思ってました。それを妄想したり空想したりが楽しくて。

――子ども時代、そういう妄想や空想に助けられてきたところもありますか。

坂本ちゃん わたくしが曲がらなかったのは、妄想・空想と、当時の80年代のアイドルが大好きだったからです。ありがたいです。

大きなストレスに見舞われたとき、支えてくれたのは「絵を描くこと」

――絵を描くことにも支えられたそうですね。

坂本ちゃん いろいろ悩んでいるときに絵を描くことによってストレス発散してました。お金関係で家族と揉めたりとか、仕事がなくなって人が離れていく経験なんかが続いて、突然一気に、大きなストレスに見舞われて。その頃は発散する対象が他になくて、とにかく絵に助けられましたね。一日、仕事がうまく行かなくて終わって不安なときも、絵を下書きして色を塗っていくと、心が穏やかになりました。

坂本ちゃんのXより

 だから歩いて心身がたおやかな現在、絵を描かなくなってますね、描くことは好きなんですけど。今は何かあったときとか、依頼があったときに描くとか、そういう感じ。

――今は絵を描くより、歩くことに熱心になってるんですね。

坂本ちゃん そうなんです。1年以上歩き続けて、幸せを感じるとかワクワク感とかも超越してますけどね。これからの時期は日中暑くなるから、朝4時に起きて日が昇るのとともに歩いてます。