今回のチケット申し込み条件は、活動再開のめどが立たぬ間も支えてくれたファンへの、嵐の誠意なのだと思います。ファンクラブをやめてしまった人は残念ですが、自分で決めたことの結果は素直に受けとめ、気持ちを新たにすがすがしく応援に臨むのが最善でしょう。

 とはいえ、「なんと言われてもこの目で嵐を見たい」という一心から、不正に流通する“闇チケット”の誘惑に揺らぐ人が皆無ではないのが現実です。

嵐のXより

チケットの転売で裁判所が動いた初の事例

 ファンと運営が一体となって封じるべきトラブルは、大きく2つ挙げられます。

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 1つ目は、チケットの不正申し込みや転売のトラブル。

 昨今、STARTO ENTERTAINMENT社(以下、STARTO社)は、チケットの不正売買の取り締まりに力を入れています。

 2025年3月10日には東京地裁が、株式会社ヤング・コミュニケーション*の申し立てに応じ、大手チケット転売サイト「チケット流通センター」に対しSnow Manのチケットを高額で出品していた16件の発信者情報開示命令を出しました。
*SMILE-UP.の傘下企業で、現在は主にSTARTO社に所属するタレントが行うコンサートを主催する会社

Snow ManのXより

 本件は本人利用限定のチケットの転売が権利侵害にあたると判断され、裁判所が動いた初の事例となり、住所や名前を開示された利用者は、今後ファンクラブの強制退会や損害賠償請求を受ける可能性が無いとは言い切れません。

 しかしながら、STARTO社のファンクラブは入会時に本人確認が行われないため、名前やメールアドレス、端末を分ければひとりでいくつもの会員資格を持てるのが現状です。

 ファンクラブやチケットの申込時、顔写真登録や本人確認をマストにすれば不正転売の抑止になりますが、いまだにこのシステムが導入されていないことに不満を抱くファンも多くいます。

本人確認の強化、リセールシステムの導入に期待

 たとえば、菊池風磨さんのソロ公演「おふうかい」では、チケット運用に外部アプリ「チケプラ」が採用されました。チケプラは事前に利用者の顔写真登録が必要で、不自然な加工をした写真は弾かれます。チケットには名前や座席情報とともに顔写真も表示され、入場時に本人と相違無いかチェックを受けます。

菊池風磨 ©文藝春秋

 また、Number_iらが所属するTOBEのライブも事前に顔写真登録を行い、入場時は顔認証を実施しています。TOBEのアーティストもドームクラスの会場でライブを行いますし、もはやこれまで囁かれていた「会場の規模で本人確認の対応ができない」という理屈は通らないように思います。

Number_i ©︎時事通信社

 STARTO社も、一部アーティストの公演では専用アプリを用いたり、夏ごろには公式にチケットを譲渡できるリセールシステムのオープンを目指して、着々と準備を進めているようです。嵐のチケットがみすみす転売の餌食にされることのないよう、運営に期待がかかります。