「ネタより人柄で笑いを取るスタイル」「面白かったっていう記憶は別に要らない」。ゴー☆ジャスはそう言い切る。冷酷なまでに自分を客体化し徹底的なマーケティングでお客さんを笑顔にする。その背景には、売れることへの渇望ともう一つ。「自分は宇宙海賊であって『芸能人』ではない」という強固(で不思議)な自覚があった。(全3回の2回目/#3に続く)
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ゴー☆ジャスはなぜ白塗りなのか
――なぜ白く塗ろうと思われたんですか?
ゴー☆ジャス デヴィッド・ボウイをモチーフにした『ベルベット・ゴールドマイン』を見たとき、「あれっ、お笑いじゃないのにこんな格好を真面目にして、こいつら何やってるんだろう」ってハマっちゃったんですよ。こうなりたいと思って、取りあえずバイトしてお金を貯めて服を作りました。原宿の「竹の子」っていうお店なんですけど。20万円ぐらいしたかな。その時同時に白塗りも開始。
――お客さんの反応はどうでしたか。
ゴー☆ジャス 劇場で、暗転から明るくなった時に、ワーッてなったんですよ。出オチでこんなワーッて言ってくれるんだと思ったら、快感になっちゃって。お客さんのアンケートでも「1000円のライブでこんな異世界の人が見れるなんて思わなかったです」って書いてあったり。
――異世界の人(笑)。
ゴー☆ジャス その時は「31世紀から来たロックスター」みたいなことを言ってたので。それがビジュアル系のファンの人たちの耳にも入って、結構人気が出てきました。当時は桜塚やっくんがすごく人気で。やっくんがトップバッターでネタやって帰ると、劇場の半分ぐらいバーッといなくなっちゃう。
――そこまで。
ゴー☆ジャス 僕も当時はそこそこ人気あったので、僕も終わると、最終的に2人ぐらいしかお客さんが残らなかった(笑)。見かけだけでもいいんだっていうお笑いの時代があったんですよ。
――「ネタで勝負しろ!」みたいな、芸人内での圧はなかったんですか?
ゴー☆ジャス なかったなぁ。だって、こっちのほうが人気だから、たぶんみんな言えないですよね。桜塚やっくんさんも他の芸人には厳しかったですけど、僕には優しかったです。基本、僕に厳しい先輩はいなかったですね。
――なぜみんなゴー☆ジャスさんに優しかったのでしょうか。
ゴー☆ジャス 塗ってるからだと思います。僕が山城新伍さんの番組に出た時、山城新伍さんは大体みんなに怒るんですけど、僕だけ褒められて。「ちゃんとやってるな」「いいな」って言ってくれて。嬉しかったです。怒られないっていうのが一番いい。白塗りしてるからだろうなと理解しました。


