「万博×大阪のおばちゃん」という奇跡の組み合わせ

冷静に考えると、もしかしてあれはいわゆる「バーゲン会場」なんじゃないか、ということです。つまり、ここで「オトク」なものを得られない人間は「情弱」であり「負け」だ、という感覚が、こと大阪のおばちゃんにはあるんじゃないか、と思ったのです。

「負け」が死ぬほどキライで「オトク」が大好き、リーズナブルなお金の使い方こそ至上、「これ、いくらやったと思う?」と人に聞くときは「安かってん」と言いたいがため、という価値観を持つ大阪のおばちゃんにとって、クチコミもネットも自分自身の人脈もすべて駆使してオトク情報をゲットし、期間限定の場で勝ち抜くことこそレゾンデートル(存在意義)なんじゃないか? という気がしたのです。

「せっかく」ここ大阪で55年ぶりの万博をやっている。「せっかく」世界中の人が来ている。「せっかく」今この時代に今しかないパビリオンと大屋根がある。裏情報もつかみ取り、夫をも動かし、オトクな時間帯を狙い、今しかないものを楽しむ。そうして自分が楽しんだものについてもちゃんと吹聴する。おばちゃんにとっては万博こそ「(私にとってこれは)安かってん」と言える千載一遇のチャンスなのです。

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子連れよりもシニア層が多いのも納得

大行列で必ずしもお目当てのパビリオンに入れるとは限らないからこそ、通期パスで何度も行ったろ、と考える人が多いんですね。それが逆に体験型イベントとしてリーズナブルである、というおばちゃんたちの判断なのだと思います。結局、万博は大阪のおばちゃんのマインドにフィットしたんですよ。かくいう私もおばちゃんですが……こんなこと書いていると知られたら、おばちゃん仲間にハブられるかもしれない。

では、若い世代にとってはどうなんでしょう。万博会場では大勢の小中学生が学校の先生に連れられてきているのを見かけましたが、入ったときは元気な子たちも出るときはみんな顎を出して、くたびれているように見えました。暑かったですしね。カップルや家族連れもある程度は見ましたが、大勢で入れるような場所が少なく、デジタルチケットでは複数人数の予約を一斉に取るのも大変難しいのが現実だと思います。