今回、一緒に歩いてくれるのは大西さんだ。元は営業担当の会社員だったので、説明がうまい。取引先の観光に付き合うことがあったため、各地の名所にも詳しかった。だが、やなせさんが後免町で育ったと知ったのは数年前だ。改めて勉強し直し、やなせさんの著作も精読。今では後免町の歴史からやなせさんの人生まで縦横に語れるほど詳しくなった。
最初は案内所のすぐ隣にできた「やなせライオン公園」
「さぁ、出掛けましょう。約3km、4500歩ぐらいのルートです」
最初は案内所のすぐ隣にある「やなせライオン公園」だ。シンボルロードが完成した3月30日にオープンした。
「なぜライオンという名前がついているか分かりますか。やなせさんが卒業した後免野田小学校に『やなせライオン』という石像が置かれています」。大西さんが写真入りの自作資料を見せる。
「自分の名前をつけるぐらいだから、やなせさんにとっては大事な石像でした。『全ての原点』『人生の出発点』『アンパンマンの生みの親の親』と本人は言っています。石像そのものについては後ほど説明しますが、小学校には入れないので、レプリカをこの公園に設置しました。だから『やなせライオン公園』なのです」
レプリカを作ったのはフィギュアメーカーの海洋堂だ。近くで見学や体験が可能なファクトリーを開設している。
「ライオン」の周囲には噴水が設けられていて、子供達が歓声を上げていた。石像に抱きつく子もいる。その後のことになるが、あまりに抱きつかれすぎるなどして塗装がはげ、修理に8日間も“入院”する事態になった。優しそうな目をした「怖くないライオン」は幼い子に大人気なのだ。
「公園にはシーソーがあります。やなせさんが2014年に著した『やなせたかし おとうとものがたり』(フレーベル館刊)には、シーソーで弟と遊んだと書かれています。その他、パネルにいろんな情報が書いてありますので、あとでゆっくり読んでください」
公園のすぐ横を舟入川が流れている。

