舟入川は後免町のまちなかを流れていて、柳瀬医院跡地の近くも通る。

「あの橋の向こうが材木屋さんでした。木材は川をイカダで流されていたので、やなせさんも乗って遊びました」

『ありがとう駅』という愛称がつけられた後免町駅

 後免野田小学校が遠目に見えてきた。

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 同校では6月から児童が観光ガイドを始めた。中庭に設置されたライオンの石像の実物、体育館に置かれたやなせさん寄贈のサイン入りグランドピアノを案内してくれる。ただし、登校日のうち決められた月曜と木曜だけなので、申し込み先の南国市観光協会で確認が必要だ。

 ごめん・なはり線の「後免駅」から一駅、隣の「後免町駅」に着いた。1.1kmしか離れておらず、容易に歩ける距離だ。

「駅名があっちも後免、こっちも後免で紛らわしいし、やなせさんが『ありがとうを気軽に言える町にしたい』ということで『ありがとう駅』という愛称になりました。駅前には『ごめん生姜(しょうが)地蔵』もあります。御利益は心身健康、生姜だから無病息災、南国市には鉄道や高知空港があるので交通安全、そして元気百倍。これがなんともいい響きです」

「ここが『ありがとう駅』という愛称がつけられた後免町駅です。上にホームがあります」と大西久司さん

 すぐ近くには、とさでん交通の路面電車の「後免町駅」があり、そこから路面電車の真横を歩く。とさでん交通に許可を取っているからこそ通れるレアなガイドルートだ。

 後免町商店街の入口に差しかかった。後免野田小学校の児童が調べたまちの案内看板がある。

「商店街は400mの長さがあり、南国市制50周年の時に『やなせたかしロード』という名前がつけられました。アンパンマンに出てくるキャラクターの石像が7体置かれています」

「私はこの商店街の雰囲気が大好きなんですが、残念なことにシャッターを閉める店が増えました。商店街を寂れさせる怪人サビレラー、対するご当地ヒーローのごめん戦隊ゴメンジャー。その闘いがシャッターに描かれています」

「ここにあった書店には、やなせさんが子供の頃、雑誌『少年倶楽部』を買いに来ていました」

 商店街を抜けると、シンボルロードに戻る。アンパンマンの石像の前でガイドは終わりだ。