ところが運営会社によると、意外にもこの商品が好評で、賑わっているという。
店があるのは、会場の中央部に位置する人工林「静けさの森」の西側のゾーン。隣には「スシロー」の店舗がある。東西どちらのゲートからも歩いて10分くらいかかる立地だ。飲食店に併設して、弁当売場があり、10種類ほどの各種弁当も売っている。
まねき食品は1888年に創業した、老舗駅弁業者。同社が1889年に発売した経木折詰の幕の内弁当は「幕の内駅弁の元祖」と言われている。姫路駅の在来線ホームと新幹線の乗換口に立ち食いそば「えきそば」を出店していることでも知られる。
「えきそば」は1949年に発売。終戦直後の当時、統制品であった小麦粉の代わりに、こんにゃくとそばの粉を混ぜた麺を開発し、その後も改良を重ね、現在の和風だしにかん水入りの中華麺を使った、独特のそばが完成した。1杯480円から提供するえきそばは、姫路のソウルフードとして愛され、市内の繁華街のみならず、大阪市内にも出店している。
万博の店舗は休日ならば100枚以上の整理券が発行されていたが、現在は店の前に並ぶ方式に変更され、回転率を上げて行列の短縮に努めている。この日は平日で運よくすぐに通された。店内は混んでいてほぼ満席状態である。
早速「究極の神戸牛すき焼きえきそば」3850円を注文した。着丼したそばの上には、神戸牛のすき焼きが100グラム乗っていて、なかなか豪華だ。温泉卵がトッピングされていて、すき焼きのように神戸牛を食べることもできる。
汁には、和風だしに帆立やハマグリの旨みも加えているとのこと。姫路駅の素朴なえきそばとは異なり、これまでのそばでは食べたことがないような非常に深みのある、スープに感じた。
ラーメンでは今やダブルスープ、トリプルスープは当たり前になっているが、そばではこのような複雑な味の追求があまり行われてこなかった。えきそばの特徴である、黄色い中華麺にも合った複雑な風味のスープで、そばの新しいあり方を切り開いた商品と言える。
器は能登半島地震で被災した、石川県輪島市の名産「輪島塗」を使っている。このような内容を考慮すれば、確かに3850円も妥当と感じられた。同社によれば「せっかくの万博なので、ここでしか食べられないものを考えた。外国人のお客様にも人気です」と、手応えは十分なようだ。
「3個で2300円」で話題となった大阪王将の餃子
「大阪王将」も餃子3個で2300円が、浮世離れした価格だとSNSで批判の的となったが、実際はどうか。

