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「ちょっとユニークな古本屋さん」という立ち位置を確立

 地元の住人は「3年前にNABOができてから、この街に文化活動の拠点ができ、いろんな人たちが集まる場所ができた」と喜ぶ。

 こうした独自の活動をメディアや自らのSNSを通して発信することで、「ちょっとユニークな古本屋さん」という立ち位置を確立し、大量の古本買取を可能にしている。現在、中村の悩みは古本を扱うイメージが強すぎて、高額商品であるCDやDVDを思うほど送ってもらえないことにある。現在、CDやDVDの販売の割合は全体の2割程度だが、将来はこれをさらに高めたい考えだ。

NABO外観 ©VALUEBOOKS

 現在は、上田市内に3カ所の物流センターを持ち、アマゾンや楽天を経由して注文を受け、年間で340万冊を発送する。物流センターには常時200万冊以上の在庫を抱える。タイトル数にすると50万タイトルに達する。この50万タイトルというのは、大手取次が在庫として抱えるタイトル数に匹敵する。

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 古本買取までの流れは、いたって簡単だ。

 ネットで発送主の情報を登録し、送りたい古本を箱詰めする。指定した日時にヤマト運輸が集荷に来る。送料はバリューブックスの負担。それを物流センターに送ると、2営業日以内で古本の価格が査定される。査定の一つの目安として、発売から3カ月以内の商品なら定価の3割、6カ月以内の本なら2割、1年以内なら1割といった値付け。送り手が査定額に納得すれば取引が成立し、最短で翌営業日には口座に入金される。

書籍を梱包する従業員 撮影:横田増生

 3カ所ある物流センターは、365日稼働で、朝9時から夜9時まで。約400人のアルバイトが働く。午前9時から午後4時までの働き手は、圧倒的に地元の主婦が多く、4時以降は学生やダブルワークをする男性などが入れ替わる。

「アマゾン頼み」からの脱却

 古本屋の優劣を分けるカギは、どれだけ売れ筋の商品を集められるか、にある。独自の仕入れ網を持たないネットの中古書店は、一般家庭にある要らなくなった古本やCD、DVDを、できるだけ多く送ってもらい、その中から、売れる商品を探して出品することが成長には不可欠になる。

 加えて、これまでは販路をアマゾンや楽天などのプラットフォーマーに頼っていたが、今後1、2年のうちに自社サイトを立ち上げ、自社でまかなうことを目指す。そのため、中村は、自社の抱える在庫を現在の50万タイトルから100万タイトルに引き上げることを目標に掲げる。「自社サイトをオープンしても、ほしい本が見つからないのなら、お客さんは来てくれない」(中村)からだ。品ぞろえの充実こそが自社サイトの成否を分ける。自社サイトが軌道に乗れば、アマゾンなどのプラットフォーマーに支払っていた手数料を払わなくて済む分、自社サイトで商品をより安い値段で販売できるようになると考えている。