佐々木朗希が塗り替えるまで、50年以上破られなかった「記録」
彼はこのとき同時に、当時のリーグタイ記録となる16三振を奪った。こうして史上10人目となる完全試合(2-0)を達成した。ただその後、完全試合での奪三振記録は、2022年に当時ロッテの佐々木朗希(19奪三振)に抜かれた。
この試合の外木場の投球内容である。もちろん完全試合のためには、27人を連続してアウトにする必要がある。その内訳は奪三振16、外野フライ3、外野ファウルフライ1、内野ゴロ7だった。やっぱり凄かったのは、22年の佐々木朗希と同じような“奪三振ショー”だった。
解説するまでもないが、約60%の奪三振というのは、3人が打席に立った場合、約2人を三振に仕留めるということである。これを9回まで続けたので、プロ同士なのにまるで“大人と子どもの野球”のように見えた。もちろんこれだけ三振を奪うためには、1人当たり3球以上を投げないといけない。従って球数もかさむ。しかしそれでも、外木場はこの試合をたったの114球で投げ抜いた。因みに、その114球を単純に9回で平均してみると、彼は毎回、わずか12球で3人をアウトにしたことになる。
外木場の打者をねじ伏せる剛球伝説は、まだここでは終わらなかった。その3回目は、まだ彼がピークを迎える前の1972年4月29日の巨人戦だった。この試合。自ら「球の力はさほどではなかった」と語った外木場は、サラリと3度目のノーヒットノーラン(3-0)をやってのける。
この試合でも、当時あまり語られなかった人知れぬエピソードが残っている。
