牛丼といえば吉野家、吉野家といえば牛丼。そんなイメージをくつがえす新メニュー「牛玉スタミナまぜそば」が、7月4日に発売された。

 吉野家は牛丼以外のメニューも手掛けているものの、カレー・豚丼・親子丼など、これまでご飯ものばかりだった。なぜいま、吉野家史上初となる「麺メニュー」を投入するのか?

「史上初」となる麺メニューを発売した吉野家(筆者撮影)

「吉野家=牛丼」のイメージはもう古い?

 このたび吉野家が麺メニューを投入したのは「ラーメン業界進出」への布石と考えても良いだろう。

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吉野家ホールディングス(HD)は複数のラーメンチェーンや卸企業を傘下に収めている(同社決算資料より)

 牛丼のイメージが強い吉野家だが、経営元である吉野家ホールディングス(HD)傘下には「そば処 吉野家」「はなまるうどん」「カレーうどん千吉」などがあり、事業の軸足は意外と広い。

 中でも近年はラーメン業界への進出を積極的に行っており、「ばり嗎」「せたが屋」「中華そば ふくもり」などラーメン店のブランド・運営企業を、次々と傘下に収めている。

 直近の中期経営計画発表会でも、成瀬哲也社長の口から「ラーメン事業でさらなるM&A、売上を5倍(400億円)」「ラーメンの提供食数を世界ナンバーワンに」との、景気のいい構想が次々と飛び出した。

 実現すれば売り上げの2割程度をラーメン事業が占めることになり、グループの本丸である「吉野家」での麺メニュー投入の成否が、グループの今後を占う重要な役割を果たすことは、言うまでもない。