インタビュー中に包丁を出されたことも

――危機一髪ですね。危険な目にあったのはその1回くらいですか?

らむ あとは包丁出されたくらいかな。僕が話を聞いていたら後ろの人が「俺の悪口言ってるやろ!」って言い出して。話聞いている人が、僕の後ろを見ながら「そんなモノ出すな!」「しまえ! しまえ!」って言ってて。どうやら僕の真後ろで、包丁出してる。動いたら刺されそうな雰囲気があった。

――かなり危険じゃないですか。

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らむ 刺激しないよう固まって。そこは地区の「センター」って呼ばれてる場所だったんですけど、5時までしか使えない場所だったんでちょうど終了のチャイムが鳴って。みんながドヤドヤってなった瞬間にササササって逃げました。でもそれくらいかなあ。ものすごい酷い目に遭ったことはないです。

――記事を読んだ人から意見が来ることもあるとか。

らむ 最初の本を絶版しろって言ってたのも左翼の人だったし、僕は左翼には嫌われていて。呼び出されてリンチされそうになったことは1回あります。

リンチされそうになったらむさんを救った、あの"大物歌手”

――呼び出しに応じたんですか?

らむ ファンです、みたいな連絡が来て。まあ乗らなきゃいいんですけど「ちょっと怪しいなあ」と思いつつ好奇心が抑えられなくて。西成の三角公園っていう場所で会いましょう、と。で、行ったら「この人はホームレスを差別している人なんですよ!」みたいなことを急に言い出して。

 まあ剣呑な雰囲気というか、まわりがザワザワ、ザワザワし始めて。で、カメラ回してる人がいて、それは地元のプロレス団体の人だったんだけど、僕をリンチするところを撮ってくれって頼まれたらしいんです。

――怖い。どうなったんですか?

らむ 基本的には刺激しないようにしてたんですけど、どんどん煽っていくんで「やばいかな~」って雰囲気になって。そうしたら、嘘みたいな話なんですけど、加藤登紀子さんが来まして。

――え、歌手の……? たまたま?

らむ たまたまというか、夏祭りの前日だったんですね。3日間やる西成の夏祭りなんですけど。それでちょっと大きな催しとしてコンサートが翌日にあるんで、そのためにマイクチェックするっていうんで加藤登紀子さんが壇上に上がったんです。そしたら「わー!」「おトキさーん」って声が上がったんで「それじゃちょっとこのままミニコンサートやっちゃおうか!」ってことになって、ミニコンサートが始まって「わああ!」ってなっているスキに逃げました。

――わああ……!

らむ まあ、そうならなくても何とか逃げたとは思いますけどね。僕は暴力を受けたくないので。

©︎文藝春秋

写真=細田忠/文藝春秋

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