「全財産が5万円になったんです」大手事務所に所属後、極貧生活で人生ドン底に…

――実際、大手事務所の環境はいかがでした?

朝比菜 正直、満足してはいなかったです。入所前には仕事がたくさんあると言われていたのに、実際に入所したら仕事は1つももらえず、自分で取ってきた仕事も受けちゃダメと言われて。ライブ配信で得た収入もほとんど事務所に渡していました。

 アルバイトは許されていたけど条件が厳しいし、レッスン費も払う必要があったので、一時期は貯金も全てなくなって、全財産が5万円になったんです。来月のクレカや家賃の引き落としまでにお金を用意できるかどうか……というくらい追い詰められていました。

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アイドル時代の朝比菜りおなさん(写真=本人提供)

 体調を崩して高熱を出すようになったり、電車の中で急に涙が出たりして、人生ドン底でした。みるにみかねた親友が、わざわざ5000円を手渡しにきてくれたこともあったんです。病院で「うつ病になりかけている、ギリギリの状態です」と言われるほど、追い込まれていました。

SNS運用代行の経験が自信に…事務所を辞めフリーランスへ

――当時、どんなアルバイトをやっていたんですか?

朝比菜 将来に役立ちそうと思って、昼間はSNSの運用代行をやっていました。アイドルを辞めて大手事務所に所属する前に、ジョージアという国で1か月の移住体験とノマドワークの職種を学ぶ「ノマドニア」に参加したことがあって。そこでSNSの運用代行について学んでいたので、知識があったんです。

 夜は食費とお風呂代を浮かせるために、スーパー銭湯にあるレストランで働いていました。家賃をなるべく抑えるために、東京にギリギリ近い埼玉に住んでいて、築47年で家賃が月4~5万円のアパートで暮らしていました。

――大手事務所には、どれほど在籍していたんでしょう?

朝比菜 半年ほどです。事務所でSNSのレッスンがあり、先生から「事務所に入っていても、SNSを効率よく使えないと仕事をもらえない」と聞いたときに、すでに自分のSNSを活用できていたから「じゃあ、自分でやればよくない?」と思って辞めました。

アイドル活動を辞めたあと、厳しい生活を強いられていた時期もあったという(写真=本人提供)

 あと、自分の軸には「私の言葉と生き方で元気や勇気を与えたい」という思いがあったんですけど、演技を通して「元気や勇気を与えられるのか?」と疑問が湧いてきて、それならいっそ自由に1人でSNSを頑張ればいいと思いました。