ジュゲムがカメラマンを務めた2つの理由
しかし、こうしてキャラクターがカメラマンを務めることは、プレイヤーがゲーム内でのカメラの視点について簡単に理解することに役立っている。
NINTENDO 64(以降N64)の発売と、複雑さを増したコントローラーの導入に際し、宮本と任天堂のチームはふたつのことを達成する必要があった。
(1)楽しく没入感のあるプレイ体験にするために、この空間をどのように動き回ればいいかをプレイヤーに教えること、(2)N64というプラットフォームで何ができるのかを他のゲーム開発会社に教えることだ。
『スーパーマリオ64』ほどN64のコントローラーをうまく活用できたゲームは他になく、N64と同時に発売された『スーパーマリオ64』は、3Dビデオゲームという新しい市場が発展していく道筋をつくった。
この作品のゲーム体験という点に関しては、『マリオ』シリーズの成功を土台としながら、『ゼルダの伝説』におけるデザイン戦略が引き継がれている。
最初期のオープンワールドゲームのひとつに
ジェフ・ライアンによると、「『スーパーマリオ64』は、最初期のオープンワールドゲームのひとつになった。
時間制限もなく、手ごわい敵もいないが、オプションのサイドクエストがたくさんあって、最短ルートでエンディングを目指すか、あるいはひたすら仮想世界で遊び回るか、プレイヤーは選べる」(『ニンテンドー・イン・アメリカ』220)。
とはいえ、物語も存在しており、ゲームに目標を与えてくれる。
クッパがキノコ城を乗っ取り、ピーチ姫を絵のなかに閉じ込める。ケーキをつくって待っていると招待されていたマリオは、城に着いて初めて事態を知る。マリオはさまざまな絵画の世界に入り、城を守っていたパワースターを奪還していく。
そして最終的に、ステンドグラスのなかに閉じ込められていたピーチ姫を解放する。それからピーチ姫は、マリオのためにケーキを焼いてくれる。