コントローラーデザインは『マリオ64』のため?

 よく、宮本がNINTENDO 64のコントローラーをデザインしたのは『スーパーマリオ64』に活かすためだと言われるが、『スーパーマリオ64』をプレイしたことのある人は、確かにそうかもしれないと感じることだろう。

 図1にある右の黄色い4つのボタンでは、カメラアングルを切り換えることができる。

図1 NINTENDO 64のコントローラー ©Judd Ruggill, courtesy of the Learning Games Initiative Research Archive(『ゲームクリエイター 宮本茂』より)

 アナログスティック(3Dスティック)は倒す量によってマリオのスピードが変わり、倒し方によってそろりそろりと歩いたり、普通に歩いたり、走ったりする。

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 さらに、ユーザーはコントローラーの設定を自分なりに変更できた。ボタン割り当てを替えることもできるし(ハードウェアのカスタマイズ)、それまでのようにコントローラーを横向きに持ったり、逆さまに持ったりすることもできる(使い方のカスタマイズ)。

 しかし、当時ニンテンドー・オブ・アメリカに在籍していたジム・メリックが語るように、宮本はひとつのゲームのためだけにコントローラーをデザインしたわけではない。

アナログスティックと3Dでの操作が新しい可能性を

「宮本さんがアナログ操作を望んだのは、『スーパーマリオ64』をどのようなものにすべきかビジョンがあったからですが、コントローラー自体は特定のひとつのゲームのためにデザインされたものではありません」(2000)。

 むしろ宮本がコントローラーを設計したのは、アナログスティックと3Dでの操作が、ゲーム体験にさまざまな新しい可能性をもたらせるというビジョンを持っていたからだ。