任天堂で『ドンキーコング』、『マリオブラザーズ』、『ゼルダの伝説』など、数々の人気シリーズを生み出したゲームデザイナーの宮本茂。

 “現代ビデオゲームの父”とも言われる宮本の経歴や実績をイリノイ工科大学教授のジェニファー・デウィンター氏が分析した『ゲームクリエイター 宮本茂』(DU BOOKS)より、一部抜粋して紹介する。(全3回の2回目/続きを読む)

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64で最も売れた『スーパーマリオ64』は累計1191万本

 NINTENDO 64により、任天堂は2D中心のゲーム開発から本格的に3Dゲームの開発へと移行した。

 このハードの発売に合わせ、宮本は『スーパーマリオ64』を生み出した。このゲームは現在でもNINTENDO 64で最も売れたソフトとなっている(累計1191万本[VG Chartz, “Super Mario 64” 2014])。

 さらにその2年後には、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』もリリースした。

 この3Dゼルダは今でも優れたゲームのリストに名を連ねるような作品で、ゲーム雑誌「Edge」は、「『オカリナ』は今では最も美しいわけでも、最も規模が大きいわけでもないかもしれないが、それでも史上最高の傑作である」と振り返っている(2014)。

 どちらのゲームも空間のなかでさまざまな物語が生まれていくものだが、これまでと違うのは空間の使われ方で、3Dの奥行きある空間となったことで異なるタイプのインタラクションが実現されている。

 また、そうしたインタラクションは、新しく設計されたコントローラーを使うことで可能になる。

「『オカリナ』は、ただマシンで動くだけでなく、そのマシンに特化したデザインをする模範のような作品だ」(「Edge」)。

 このように、これらのゲームは30年近く前にデザインされたにもかかわらず、3D環境におけるゲームづくりの模範を示した作品と言える。