また、『日航123便墜落の新事実』では、次のようなことも書かれている。

緊急放送が続々と流れ、テレビや新幹線内のニューステロップで事故が報道された。その中には多くの人々が驚いた緊急報道があった。それは『自衛隊員二名が射殺された模様』というものだったが、その数分後『先ほどのニュースは誤報でした』という内容だった。具体的には二十時頃、『ただ今現地救助に向かった自衛隊員数名が何者かに銃撃され、死者負傷者が多数出た模様です。情報が入り次第お伝えします』であったと記憶する。なおこのニュースは二〇一〇年まで動画投稿サイトで流れていたが、今は削除されている。

 この記述は事実であるならば重要なものだが、ここだけの言及に留まっており、唐突感が拭えない。そして、こんな緊急報道が当時あったことを記憶している人はいるだろうか? 少なくとも筆者の周りには確認できなかった。青山氏は当時見たのだろうか? また、青山氏が動画投稿サイトで見たと主張しているニュース映像だが、おそらく次のキャプチャ画像の動画だろう。   

ネット上で流布している、NHKのニュースとされる画像(透かしは筆者によるもの)。NHKが公式に否定した

 このキャプチャ画像の動画は、少なくとも10年以上前から存在し、今もネット上で確認できる。これは当時の実際にあったNHKのニュース映像に緊急速報のテロップが表示されているものだが、映像のアナウンサーは全く別のことを話している。そして、テロップの位置もフォントもまるで実際のものとは異なり、素人目にもフェイクに見える。そもそも、テロップの内容は一体どこが発表した報道なのか分からず、不自然極まりない。

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NHK「偽動画であり、このような内容を報道した事実はありません」

 この映像の真偽についてNHKに照会したところ、広報局より下記の回答を頂いた。

「偽動画であり、このような内容を報道した事実はありません。なお、このようなNHKの偽動画については、必要な手続きを進めて削除に努めるなど、適切に対応していきます」

©橋本昇

 NHKは当該の映像を偽動画としている。この映像を青山氏が見たと主張するならば、青山氏はなんら確認作業をとらず、単にネットで見かけた雑なフェイクを真に受けたことになる。違う映像だったと主張しても、存在を証明できないものだ。実在不明なもので自衛隊の関与を匂わせていることになる。

 他にも、こうしたフェイクとも与太話ともつかない話がちょくちょく出てくる。「核心に近づくと妨害や脅迫が増えるから気を付けた方がよい」と忠告する元自衛官が登場し、青山氏は逆に核心はこちらだと暗示されたと感じるシーンがあるが、そんな身近に核心とやらを知っている元自衛官がいるなら、その人を追及すれば終わる話ではないだろうか。

次の記事に続く もしやミサイルの種別を混同している…? 「日本航空123便墜落事故」の陰謀論があまりにも“ズサン過ぎる”納得の理由

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