さて、ここまで筆者なりの問題点を書いてきた。しかし、青山氏は『日航123便墜落の新事実』のあとで、様々な批判を受けたのだろう。次に出した『日航123便墜落 遺物は真相を語る』で次のように書いている。
そのような中で、私の調査結果について『まさかそんなはずはない』と言わなかった人たちがいる。私がお会いした元自衛隊員たちや、零式戦闘機搭乗員の訓練を受けた直後に終戦となり、自衛隊を経て日航機長となった信太正道氏、海軍少佐で零式戦闘機教官だった上野村村長の黒澤丈夫氏である。日航123便の検視担当医師がまとめた『ご遺体状況一覧表』に書かれた内容からは、明らかに武器燃料を被ったのではないかと思われるのだが、自衛隊の武器が関係している可能性があるのではないだろうか、という私の見解について『なるほど』と納得していただいた。実際に戦闘機に乗って戦う訓練を受けた人間や、レンジャー過程(引用者注:ママ)を修了した特殊隊員のようなスペシャリストで、過酷な戦闘訓練を重ねた人のほうが、そういうことはあり得ると思った、ということになる。
つまり、経験のない部外者や都合の悪い部内者がとやかく言える次元のことではなく、そのような人たちの勝手な憶測による否定などは、真相を明らかにするのに障害こそあれ、何の役にも立たないのである。
批判者に対する突き放す・見下す態度
これはある意味で無敵の論法である。自分の主張をスペシャリストが「なるほど」と言ってくれれば、それ以外の反論は無価値だというのだ。一般論として、「なるほど」には納得や同意以外の意味も含まれると思うが……。
青山氏の批判者に対する態度は、このように突き放すか見下すものが多い。前述の杉江氏についても名指しせず、「便乗本を出版した元日航パイロット」について、「高齢になってまでも、自分の人生を他人に飼い慣らされて生きていくのだろうか。その精神には独立も自尊心もなく、なんらこの事件を語る資格などない」と切り捨てている。
杉江氏は青山氏の自衛隊・米軍関与論を陰謀論と批判しているが、事故調査委員会に不信感を持っていて、ボイスレコーダー公開と再調査の必要性を訴えており、この部分は青山氏と同じ主張なのだ。この部分で協力できたかもしれないのに、青山氏は誰かの走狗と認定して拒絶している。
このような批判者に対する態度は、東京大学で博士号を取得されたはずなのに不可解だ。研究に批判は欠かせないものなのだが……。
しかし、これで軍経験のない筆者の反論も青山氏の前では無価値化されてしまった。
そこで、ジェット戦闘機に乗っていた元パイロットに、長らく情報分野で活動していた分析官。元航空自衛隊のスペシャリスト2人に、青山氏の主張について話を聞いてみることにした。
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