「高い軽」ほど白ナンバーが多い?

 ところで実際のところ、軽自動車のオーナーたちはどのような基準からナンバーの色を選んでいるのだろうか。埼玉県で届出済み未使用車を中心に扱う販売店のスタッフは次のように話す。

「黄色のままを選ぶ人は『軽で気にしてもしょうがない』とか、『お金を払ってまでやりたくない』といった理由がほとんどですね。とくにアルトやミライースなど、足用と割り切って買う人に多いように思います。

 やはり車のデザインや外観を気にする人ほど、白ナンバーを選ぶ傾向はあるでしょうね。軽のなかでも価格帯が高い車種や、N-BOXやタントなんかのカスタムグレードだとさらに多くなる印象です。

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 あとは年配の方の場合、過去の軽のイメージもあり、『小さい車に乗り替えたいけど、軽はイヤだ』という方が多いんです。でも実際に車両を見てもらい、白地のナンバーにもできることを伝えると、『それなら軽でもいいや』と納得されるケースは何度かありました。

 ちなみに契約の際、こちらから『白っぽいナンバーも選べますけどどうしますか?』と聞くと、『普通はどっちですか?』とお尋ねになるお客さんも相当数いる印象です。

 ただ正直、私としても『どっちが普通か』というのは判断が難しいところなんですけどね」

写真はイメージ ©AFLO

 このように、「どっちが普通か」がはっきりしない状態が、軽の白ナンバーをめぐる不毛な対立感情の根っこにあるのかもしれない。冒頭でも触れたとおり、もはや軽自動車をナンバーの色で区別するメリットはほとんどないのだから、軽も白色に統一してしまえば話が早いのだろうが……。

 ただ、白ナンバーにするための費用、すなわち図柄入りナンバープレートなどの発行手数料は、交通インフラの整備や地域振興に資する事業のための財源として使われている面もある。

 国土交通省の資料によれば、全国版図柄入りナンバープレートの申請数のうち、9割以上を軽自動車が占める。これは軽の白ナンバーが普及するきっかけとなった「ラグビーワールドカップ特別仕様ナンバープレート」や、「東京オリンピック・パラリンピック特別仕様ナンバープレート」の頃から変わらない傾向だ。

 これらの制度は軽自動車・登録車を問わず、ナンバープレートの図柄を通じて国際的なイベントの機運を高めたり、国民の連帯感を高めたりすることを表向きの目的としている。しかし実質的には、いずれも「軽のナンバーを白くするための制度」として利用されてきた側面が強いわけである。

 これがもともと「黄色のナンバーはイヤだ」という感情に狙いを定めた制度だとすると、なかなか食えない策ではあるが、ともあれその収益が適切に公益性の高い事業へと活かされているのであれば、まだ救いもありそうである。

次の記事に続く 地方から早稲田大学に合格したのが自慢の義父。銀行の暗証番号や車のナンバーをすべて当時の受験番号にしているのですが、やっぱり危険ですよね?

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