バスから降りると築90年超の駅舎が…

 松代は長野県都・長野市の一部で、いまは鉄道の通らない町だ。

 長野駅からバスに乗って、おおよそ30分。犀川を渡り、川中島の古戦場を通り抜け、次は千曲川を渡ったその先に、「松代駅」というバス停がある。

 

「駅」の名からわかるように、もともとは松代駅という電車の駅があったところだ。松代駅は長野電鉄屋代線の駅だった。1922年に開業し、2012年に廃止されるまでの90年間、松代という町の玄関口の役割を担っていたのだ。それがいまではバスに代わっている。

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 それでも松代駅の駅舎は残っていて、駅舎の中にもその先のホームにも入ることができる。廃止されたのがほんの10年ちょっと前の事だが、開業時に建てられたという駅舎からは、90年の時の流れが感じられる。

 

 などと浸ってみたところで、ホームの向こう側、かつてレールが走っていたその場所はすっかり装いを変えて駐車場になっている。

 駅舎の取り壊しも決まったという。廃止から10年というのは、短いようで長いのだ。

 

 そんな松代駅前、いまはバス乗り場になっているロータリーから、まっすぐ南に続いている道がこの町の目抜き通りなのだろう。

 そこを南に歩いてゆく。するとどうだ、松代という町は、まるで時代劇のセットのような町ではないか。