“歴史の連続性”を実感できるように

――沖縄の歴史をカラー化していたホリーニョさんが、今度は1つの家族の歴史をカラー化するんですね。

ホリーニョ 沖縄戦の歴史を今と地続きだと自分が感じるためにカラー化したい。その感覚を皆さんとも共有したい。そういう気持ちでカラー化活動を続けてきました。

1945年4月12日 米軍から配給される食料を受けとる少年。米軍上陸後の沖縄本島、捕虜収容所にて(沖縄県公文書館所蔵/ホリーニョさん提供)
元の白黒写真(沖縄県公文書館所蔵)

 今までは、沖縄県公文書館に所蔵されているものなど公的な写真を使用させていただいていて。ですが今度は一般のご家族の写真をカラー化して詳しいお話も聞かせていただくことで、写真に写り込んだ方々の人生やご家族の歴史を知ることができると考えています。

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 大きな歴史ではなく個々人が持つ小さな歴史を知ることで、当時を生きた方々に想いを馳せながら、“歴史の連続性”みたいなものを実感できるようになるのかもしれません。

 今後の取り組みとしては、本土側の修学旅行の事前学習の支援も行っていきたいと思っています。すでに大阪と神戸の1校ずつからお声がけいただいていて、カラー化写真のパネル展や講演などに取り組む予定です。

 自分も沖縄とのファーストコンタクトは高校の修学旅行でした。これから修学旅行に行かれる高校生の皆さんに、カラー化写真をお見せしながら興味関心のきっかけになるようなお話をお伝えできたらいいなと思っています。あとは沖縄の学校でも、引き続き平和教育の資料としてご活用いただけたら嬉しいです。

――ホリーニョさんが願うように、もっと学んでくれる人が増えるといいですね。

ホリーニョ 最近はますます世界情勢が激動になっていき、自分たち自身にあまり余裕がない中では、80年前のことを考えようとはなかなか思えないかもしれません。僕も2017年の時点では沖縄の戦争や歴史のことをほぼ知らなくて、知識もほとんどありませんでした。

 だけど、この記事を読んで「へえーなんか、すごいな」「ちょっと興味がわいたかも」と、思っていただいた部分がもしあれば『カラー化写真で見る沖縄』を手に取っていただけたらと思っています。戦前から戦後の沖縄を知るための入り口になるような書籍になればいいなと思って制作しました。気軽にパラパラとページをめくっていただきつつ、皆さんそれぞれがご興味のあるテーマを深掘りしてみるきっかけになればすごく嬉しいです。

1945年4月25日 米軍占領後の沖縄 伊江島にて。撮影のためポーズを取る先生と子供たち(沖縄県公文書館所蔵/ホリーニョさん提供)

 それに、沖縄をテーマにした素晴らしい書籍や作品は本当に沢山ありますので、次の一冊や一本をご自身で探していただくのがとても大切なのかなと思います。今後も引き続き、皆さんとSNSなどを通じて情報交換しながら、かつての沖縄について考えたり想いを馳せたりしていきたいです。

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ホリーニョ 1979年兵庫県西宮市生まれ。現在は大阪市在住、IT系企業に勤める会社員。沖縄の戦前~戦後の白黒写真をカラー化する活動をしている。カラー化写真は、X(旧ツイッター)やinstagramにて発信。

『カラー化写真で見る沖縄』出版社公式販売サイトはこちら

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