〈写真多数〉うつろな表情でタバコを吸う入れ墨の女性患者、自分で切った首に包帯を巻かれる女性のにらみつける目線…カラー化した写真でよみがえる“沖縄戦のリアル”

　80年前の8月14日、日本はポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争が終結した。しかし、沖縄だけは15日以降も戦闘状態が続き、正式に降伏調印式が執行されたのは9月7日のことだった。さらにその後27年の間、アメリカの統治下に置かれ続けることになる。

　大阪市在住のホリーニョさん（@horinyo）は、沖縄戦に巻き込まれた住民たちの白黒写真をカラー化してSNSに投稿し続けている。今年2月28日にはそれらをまとめた『カラー化写真で見る沖縄』（ボーダーインク）を出版。平日は会社員として働きながら、本を広めるために各地を巡っている。

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　ここでは、そんなホリーニョさんにカラー化写真の数々を見せてもらいながら、写っている人々の背景や本に寄せられた意外な反響などについて詳しく伺った。（全2回の1回目／続きを読む）

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「覚悟はあるか？」問われた気がした1枚の写真

――ホリーニョさんがカラー化する沖縄の写真は、女性や子どもが写っているものが多いですよね。

ホリーニョ　そうですね。僕がカラー化を始めた当初のコンセプトとして、沖縄戦についてあまり知らない方、特に本土の方に「これから少し学んでみよう」と思ってもらうきっかけ作りをしたいっていうのがまずあったんです。

　沖縄戦の残酷さを伝える書籍等はすでに重要なものが沢山あります。なので、僕の場合はまず「自分たちと変わらないふつうの生活をしていた人々も戦争に巻き込まれていたんだ」という共感を持ってもらうところから始めよう、と思いました。だから戦争の中で特に弱い立場に置かれていた女性や子どもたちが、そこに確かに存在していたんだと感じられる写真を中心にカラー化することにしたんです。でも、やっていくうちに葛藤も生まれました。

――葛藤？

ホリーニョ　カラー化する女性の写真を探して沖縄県公文書館で検索していたら、この写真が出てきたんです。

　最初に見たときは「手当されてるんだ」「助かったんだな、よかった」と思ったんですけど、写真のキャプションを読んだら、この女性は米軍が沖縄に上陸した数日後に自分で首を切って自殺しようとして、その傷を治療されているところだったんです。